理御が帰って来ない。
もう、五日たつ。おかしい。変だ。あいつの帰る場所はここなのに、見廻りから帰らないなんて。
あいつも子どもじゃないんだし、すぐ帰るだろうとあまり気にしないようにしていたが…そろそろさすがに変だと思い、探すことにした。
近藤さんは半泣きで町をうろうろして理御を探し、山崎も調べているし、総悟におよんでは手当り次第に民間人を脅す勢いで探っている。
俺は理御の見廻りのルートは隅々まで調べたが、目撃情報さえ少ないくらいで、足取りがつかめない。
行きつけの団子屋も行ったし、他にあいつの行きそうな所で行ってないところと言えば…
万事屋、か?
不愉快だが、あいつがいる可能性があるから仕方ない。万事屋を訪ねた。
「邪魔するぞ。土方だ」
ガラリと玄関を開けば、まず眼鏡とチャイナが何か話しているのが見えた。二人はこちらを見て、驚いて近寄って来る。
「土方さんじゃないですか」
「珍しいアルなー」
そして、銀髪のいけすかねェ坂田銀時がめずらしそうに俺をまじまじと見て、すぐにめんどくさそうに鼻をほじり出した。
「んだよ、土方くんかよ。遠路はるばる何の用ですかァ」
「理御は来てねェか」
おちゃらけた様子のそいつに苛立ちを感じながら問いかける。
「理御?来てねェよ。…どうかしたのか、理御が」
俺の表情が深刻そうに見えたのだろう、何かを察して鼻をほじるのをやめる。
「…帰って来ねェ。五日前から」
「…家出なんじゃねーの?じゃなけりゃ、どっかに旅行とか、友達の家に泊まってるとか」
「ちげえ、見廻りだったんだぞ。…それに、嫌な予感がすんだよ」
俺のただの予感、だが。なんか、厄介ごとに巻き込まれてる気がする。
そのとき、携帯がぶるりと震えた。着信音が鳴り響き、どきりとする。誰からかと思えば、山崎からだ。朗報であることを願いながら、耳に当てた。
「もしもし」
『副長!大変です!』
「なんだ、見つかったか!?」
『いや、理御さんのことじゃないんですが___』
ちげーのかよ。舌打ちをしたくなった。
『今、高杉の船が、江戸に停まっているようです!!』
「何…!?高杉!?」
携帯を握る手に力がこもる。万事屋の眉がぴくりと動いた。
なんでよりによっていま…!理御を探さないといけねェってのに。
そこまで考えて、ある考えが浮かんだ。
よりによって今、じゃねェ。今だから、なんだ。
「まさか、理御は…」
『…そうとも考えられます』
高杉が…!?
そういえば、理御は高杉と接触したことがあった。見廻りの途中に高杉に誘拐された、そうだとすると、どこを探ってもいないわけだ。
「すぐ屯所に戻る」
『わかりました』
携帯を閉じた。
チッと舌打ちをする。邪魔したな、と言おうとして視線をあげると、万事屋が眉間にしわを寄せていた。
「…高杉がなんだって?」
「…高杉の船が江戸に停まっているらしい。もしかしたらだが…高杉が理御を誘拐したかもしれない」
「ええ!」
「理御が!?」
眼鏡とチャイナが反応する。万事屋はハァとため息を一つついて、立ち上がった。
「高杉んとこに行くんだろ?」
「…そうなるだろうな」
「俺も行く」
木刀が腰にあるのを確認して、歩き出す。眼鏡とチャイナが驚き、駆け寄る。
「銀さん!行くんですか!?」
「じゃあ私も行くアル!理御を助けなきゃ!」
「お前らは留守番だ」
「なんで…!」
有無を言わさぬ口調で言い切り、ぎろりと睨むと、二人はしぶしぶこくりと頷いた。
「いいだろ?理御救出に手ェ貸してやんよ」
「…止めても来るんだろ。どうなっても知らねーぞ」
「はいはい、まかせとけって」
理御を助けたいのはこいつも同じってことか。
屯所へ急いだ。
着信音が鳴る
その音は最悪の事態を告げる
もう、五日たつ。おかしい。変だ。あいつの帰る場所はここなのに、見廻りから帰らないなんて。
あいつも子どもじゃないんだし、すぐ帰るだろうとあまり気にしないようにしていたが…そろそろさすがに変だと思い、探すことにした。
近藤さんは半泣きで町をうろうろして理御を探し、山崎も調べているし、総悟におよんでは手当り次第に民間人を脅す勢いで探っている。
俺は理御の見廻りのルートは隅々まで調べたが、目撃情報さえ少ないくらいで、足取りがつかめない。
行きつけの団子屋も行ったし、他にあいつの行きそうな所で行ってないところと言えば…
万事屋、か?
不愉快だが、あいつがいる可能性があるから仕方ない。万事屋を訪ねた。
「邪魔するぞ。土方だ」
ガラリと玄関を開けば、まず眼鏡とチャイナが何か話しているのが見えた。二人はこちらを見て、驚いて近寄って来る。
「土方さんじゃないですか」
「珍しいアルなー」
そして、銀髪のいけすかねェ坂田銀時がめずらしそうに俺をまじまじと見て、すぐにめんどくさそうに鼻をほじり出した。
「んだよ、土方くんかよ。遠路はるばる何の用ですかァ」
「理御は来てねェか」
おちゃらけた様子のそいつに苛立ちを感じながら問いかける。
「理御?来てねェよ。…どうかしたのか、理御が」
俺の表情が深刻そうに見えたのだろう、何かを察して鼻をほじるのをやめる。
「…帰って来ねェ。五日前から」
「…家出なんじゃねーの?じゃなけりゃ、どっかに旅行とか、友達の家に泊まってるとか」
「ちげえ、見廻りだったんだぞ。…それに、嫌な予感がすんだよ」
俺のただの予感、だが。なんか、厄介ごとに巻き込まれてる気がする。
そのとき、携帯がぶるりと震えた。着信音が鳴り響き、どきりとする。誰からかと思えば、山崎からだ。朗報であることを願いながら、耳に当てた。
「もしもし」
『副長!大変です!』
「なんだ、見つかったか!?」
『いや、理御さんのことじゃないんですが___』
ちげーのかよ。舌打ちをしたくなった。
『今、高杉の船が、江戸に停まっているようです!!』
「何…!?高杉!?」
携帯を握る手に力がこもる。万事屋の眉がぴくりと動いた。
なんでよりによっていま…!理御を探さないといけねェってのに。
そこまで考えて、ある考えが浮かんだ。
よりによって今、じゃねェ。今だから、なんだ。
「まさか、理御は…」
『…そうとも考えられます』
高杉が…!?
そういえば、理御は高杉と接触したことがあった。見廻りの途中に高杉に誘拐された、そうだとすると、どこを探ってもいないわけだ。
「すぐ屯所に戻る」
『わかりました』
携帯を閉じた。
チッと舌打ちをする。邪魔したな、と言おうとして視線をあげると、万事屋が眉間にしわを寄せていた。
「…高杉がなんだって?」
「…高杉の船が江戸に停まっているらしい。もしかしたらだが…高杉が理御を誘拐したかもしれない」
「ええ!」
「理御が!?」
眼鏡とチャイナが反応する。万事屋はハァとため息を一つついて、立ち上がった。
「高杉んとこに行くんだろ?」
「…そうなるだろうな」
「俺も行く」
木刀が腰にあるのを確認して、歩き出す。眼鏡とチャイナが驚き、駆け寄る。
「銀さん!行くんですか!?」
「じゃあ私も行くアル!理御を助けなきゃ!」
「お前らは留守番だ」
「なんで…!」
有無を言わさぬ口調で言い切り、ぎろりと睨むと、二人はしぶしぶこくりと頷いた。
「いいだろ?理御救出に手ェ貸してやんよ」
「…止めても来るんだろ。どうなっても知らねーぞ」
「はいはい、まかせとけって」
理御を助けたいのはこいつも同じってことか。
屯所へ急いだ。
着信音が鳴る
その音は最悪の事態を告げる