いつだったか、ずっと前。
あたしが高杉と初めて顔を合わせた時、たしかに、あたしは説教じみた事を言ったような気もする。でも、高杉に気に入られるようなことは何一つしてないはずなんだけど、これはどういうことなんだ。
「俺はお前に興味があんだよ。初対面の、ましてや敵の女に、あんな事を言われたのは初めてだった。肝も据わってる。話を聞けば、なかなか強いらしいじゃねェか。おもしれえ女だ」
高杉は着せ替えられた私を見て、満足気に口角を上げた。
無駄に派手な着物を着せられて、髪もまとめ上げられ、ご丁寧に誰がやったのか化粧まで。
「見違えたなァ、やっぱ女ってなァ化粧で変わるモンだ」
「………」
どうしてこうなったのか、なんでここにいるのか。私もよくわからないけど、つまるところ、誘拐されたのだ。興味がある、ただそれだけの理由で。
一人での見廻り中、いきなり連れ去られたのだ。高杉の隣でニコニコしてるこの男に。
「俺も興味ある。理御だったっけ?あのとき以来だね」
神威というこの男。以前、道に迷っていたところを助けていろいろあった。やっぱ春雨の奴だったのか。
「うーん、結構似合ってるじゃない。豚にも衣装ってやつ?」
「それを言うなら馬子にも衣装だバカ」
「あ、そーだった」
あたしは豚ってか。混ざってより酷くなってるよそれ。
刀はもちろん取り上げられ、抵抗の余地もない。まあ、抵抗したところで勝てないのも分かり切ってる。とりあえず、まだ殺されないように、大人しくしておこう。
「あたしをどうするつもり?」
口を開けば、高杉が答えた。
「さァな。まだ詳しく考えてねェが、お前を見定めてから、鬼兵隊に入れるのも悪かねェかもな」
「なっ…」
はァァァ!?鬼兵隊に!?ちょっと待て、あたしは真選組なんだけど!!ええええやだやだやだ!隙を見て逃げるしかない!いや、見定めるなら、あたしが使えない面白くない奴ならいらないはず。よし徹底的に面白くない奴アピールしよう!!
脳内で緊急会議があっていると、高杉は先を続けた。
「いらねェと判断した場合は斬るぜ。このまま情報を持ち帰られちゃ困るからな」
「まあそういうこと。言うこと聞かないと殺しちゃうぞ」
危険!!この人たち、分かってたけど危険っ!!
警報が脳内に鳴り響くが、どうにもできない。ひくりと引きつった笑いを漏らした。
*
その頃、真選組屯所では。
土方が理御の帰りが遅い事に気がついていた。
「ったく理御の奴、どこで道草食ってんだか…」
本人は道草どころじゃないんだけどそんなことはつゆ知らず、土方は屯所の門をチラチラと見ていた。見廻りにしてはあまりに遅い。遅すぎる。また厄介ごとに巻き込まれてなきゃいいんだが…。
嫌な予感しかしない土方だった。
高杉の船が江戸に停まっている事が分かるのは、もう少し後の事である。
メラメラコンビに拉致られた
勝てる気がしない。
あたしが高杉と初めて顔を合わせた時、たしかに、あたしは説教じみた事を言ったような気もする。でも、高杉に気に入られるようなことは何一つしてないはずなんだけど、これはどういうことなんだ。
「俺はお前に興味があんだよ。初対面の、ましてや敵の女に、あんな事を言われたのは初めてだった。肝も据わってる。話を聞けば、なかなか強いらしいじゃねェか。おもしれえ女だ」
高杉は着せ替えられた私を見て、満足気に口角を上げた。
無駄に派手な着物を着せられて、髪もまとめ上げられ、ご丁寧に誰がやったのか化粧まで。
「見違えたなァ、やっぱ女ってなァ化粧で変わるモンだ」
「………」
どうしてこうなったのか、なんでここにいるのか。私もよくわからないけど、つまるところ、誘拐されたのだ。興味がある、ただそれだけの理由で。
一人での見廻り中、いきなり連れ去られたのだ。高杉の隣でニコニコしてるこの男に。
「俺も興味ある。理御だったっけ?あのとき以来だね」
神威というこの男。以前、道に迷っていたところを助けていろいろあった。やっぱ春雨の奴だったのか。
「うーん、結構似合ってるじゃない。豚にも衣装ってやつ?」
「それを言うなら馬子にも衣装だバカ」
「あ、そーだった」
あたしは豚ってか。混ざってより酷くなってるよそれ。
刀はもちろん取り上げられ、抵抗の余地もない。まあ、抵抗したところで勝てないのも分かり切ってる。とりあえず、まだ殺されないように、大人しくしておこう。
「あたしをどうするつもり?」
口を開けば、高杉が答えた。
「さァな。まだ詳しく考えてねェが、お前を見定めてから、鬼兵隊に入れるのも悪かねェかもな」
「なっ…」
はァァァ!?鬼兵隊に!?ちょっと待て、あたしは真選組なんだけど!!ええええやだやだやだ!隙を見て逃げるしかない!いや、見定めるなら、あたしが使えない面白くない奴ならいらないはず。よし徹底的に面白くない奴アピールしよう!!
脳内で緊急会議があっていると、高杉は先を続けた。
「いらねェと判断した場合は斬るぜ。このまま情報を持ち帰られちゃ困るからな」
「まあそういうこと。言うこと聞かないと殺しちゃうぞ」
危険!!この人たち、分かってたけど危険っ!!
警報が脳内に鳴り響くが、どうにもできない。ひくりと引きつった笑いを漏らした。
*
その頃、真選組屯所では。
土方が理御の帰りが遅い事に気がついていた。
「ったく理御の奴、どこで道草食ってんだか…」
本人は道草どころじゃないんだけどそんなことはつゆ知らず、土方は屯所の門をチラチラと見ていた。見廻りにしてはあまりに遅い。遅すぎる。また厄介ごとに巻き込まれてなきゃいいんだが…。
嫌な予感しかしない土方だった。
高杉の船が江戸に停まっている事が分かるのは、もう少し後の事である。
メラメラコンビに拉致られた
勝てる気がしない。