戻って来た日常
ポクポクポクポクポク、チーン。

河上万斎に斬られて死んでしまったザキと、とっつぁんの犬の御葬式。
犬の葬式がメインでザキはおまけみたいな扱いだけど、犬は正直どうでもいい。あたしは。

ザキ…
近藤さんの隣で、涙を拭う。後ろからこそこそ、と声が聞こえて注意しようと振り向いて、話の内容に固まった。


「なんだよ副長、謹慎処分解けたんじゃねーのかよ」

「副長の活躍がなければ今頃真選組潰れてたぜ」

「責任感じて謹慎処分の延期申し出たって」

「そういや前も様子変だったしな」

「どうしちまったんだろう」

「まさか真選組に戻って来ねーなんてことはねーよな」


ぐ、と言葉を飲み込んでまた座り直した。
戻って来ないなんてこと、トシがするはずない。でも…。信じてるけど、気がかりだ。

この短期間の間に、いろんな事があった。大切な仲間が欠けてしまったし、わだかまりが残る。もうあたし達は、以前の真選組に戻れないのかもしれない。そんなの、嫌だ。
俯いて、拳をぐっと握りしめた。
そのとき。


ドゴォン!!

「ぶぉわっ!!」


ふすまが爆発して吹っ飛び、白装束姿のザキが倒れこんできた。
…え!?ザキ!?


「ザキーーっ!!」

「うわ!理御さん!?ちょちょちょ近いですよ!」


嬉しさのあまり飛びつく。すると、嗅ぎなれた煙草の匂いに気がついた。


「なにやってやがんだ離れろ」

「…え?」


べりっと剥がされ、担がれる。急に宙に浮く。突然のことに反応が遅れる。
この、声は。


「局中法度十二条、マガジン以外の漫画、局内で読むことなかれ。局中法度十七条、会議及び重要な式典の際は携帯の電源を切るべし。てめーら全員士道不覚悟で切腹だァァァ!!」


バズーカを担いで煙草をくわえたその姿は、まぎれもない、トシだった。


「トシっ!!」

「副長ォォォォォ!!」

「やったァァァ!副長が戻ってきたぞぉぉぉっ!」


隊士達があっというまに群がり、みんなでトシを囲む。胴上げでもしそうな勢いだ。
やっとトシから降ろされた。嬉しさでまた泣きそうだ。

ザキも、トシも帰ってきた。
また、元の真選組に戻れそうで。


「うううう…よかった…」

「げっ、てめっ、泣くな!」

「泣いてない!」

「理御、泣き虫になったんじゃねェですかィ?」

「泣いてないってば!」


すると、トシの携帯が鳴った。着信音は、プリキュア。
ピタッとみんなが動きを止める。


「はい、もしもし土方でござる」


光の速さでかかと落としを食らわせた。







戻って来た日常

(副長ォォ!?)
(あ、つい)
(戻って来て一分たたずに気絶させちゃったよこの人!)
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テーマ「人外ファンタジー」
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