ガシャァン!ドゴォン!!
「!?」
「何だ!?」
電車を破壊しながら突っ込んで、ゆらりと立ち上がる。刀を腰に収めて、顔をあげた。
「真選組副長補佐、天海理御。我らが局長を救出しに参った!」
「「天海!!」」
驚愕の声があがる。あたしはそんなの気にせず、列車内を見渡す。十人ほど隊士がいるけど、お目当ての姿がない。チッと舌打ちをした。
「列車、間違えたようね。近藤さんがいない」
「近藤なら隣の車内さ」
カツン、と前に出て来たのは鴨だった。
「ちなみに、沖田君はそのまた隣の車内。僕を裏切ってくれてね。ここにいる隊士の何倍もの隊士とやりあうつもりらしい」
「総悟…」
総悟もまた、近藤さんのために戦っているんだ。なら、あたしも頑張らなきゃ。
「…鴨。もう、やめて」
声を抑えて、言う。鴨は答えずに、眼鏡をカチャ、と押し上げた。
「こんなことして何の意味があるっていうの?…もう、みんなバラバラになってしまった」
ぐっ、とこぶしを握る。鴨は表情を変えずにあたしに言う。
「あなたはやはりあちら側につくというのか?」
あちら側、というのは土方派ということで。ゆっくりと目を閉じて、胸に手を当てる。
「…あたしは。元の真選組に戻って欲しいだけだよ。総悟がトシにいたずらして、トシが怒って追いかけまわして…近藤さんが豪快に笑って、その横にあたしがいて。みんながいる…もちろん、鴨もいる真選組に戻りたい」
みんなが、笑っていた真選組を取り戻す。それが、あたしの使命。
ゆっくりと目を開けると、鴨のポーカーフェースに陰りが見えた気がした。
「……。おめでたい人だ。もう戻れないんだよ」
「戻してみせる。あたしが!!」
「…ふっ、やはり惜しいな。天海さん、こちらに来ないか?新しい真選組で、副長補佐などよりこの僕の補佐、局長補佐にしてあげよう」
予期せぬ鴨の誘いに目を見開いたが、きっぱりと即答した。
「断る。いらない、それじゃ意味ないのよ。あたしの居場所はそこじゃない。あたしの居場所は近藤さんの真選組!!近藤さんに助けてもらったこの命。真選組のためなら、捨ててもいい!!」
あたしの叫びに、鴨だけでなく隊士も驚きを見せた。近藤さんに命を救われた…ということが初耳な人が多いからだ。鴨は一瞬悲しそうな表情を見せてまたポーカーフェースに戻った。
「!………残念だよ、実に残念だ。僕は君の事を気に入っていたのに。僕につかないと言うのなら…やれ!!」
「…!!」
鴨の合図に合わせて、隊士達が抜刀する。鴨は誰かのバイクが迎えに来たらしく、列車から出て行った。
隊士達はたらりと汗を流しながら、刀を構える。仲間を斬るなんて、絶対にしたくないけど。この場合は例外だ。
「…来い。この真選組副長補佐が、直々に裁いてあげるわ」
あたしも愛刀に手をかけ、スラリと抜いた。ギラリと睨むと、隊士達は一瞬怯えてから、その気持ちを振り切るように叫んで襲いかかってきた。
「「うおおおおおおっ!!」」
「はぁあぁっ!」
本能のまま、全身全霊でただ振るい続ける。火花と金属音、破壊音。それと、赤い鮮血が終始止まずに飛び散っていた。
*
「…やはり、惜しかったか」
「ずいぶんあの女に執着してるでござるな」
「…そういう訳ではない」
「素直じゃないでござるな。…にしても、あれが天海理御、か。あれが…晋助が言っていた女子…。なかなか面白いリズムでござる。興味深い」
「何か?」
「いや」
押して参る
帰る場所を取り戻すために。
「!?」
「何だ!?」
電車を破壊しながら突っ込んで、ゆらりと立ち上がる。刀を腰に収めて、顔をあげた。
「真選組副長補佐、天海理御。我らが局長を救出しに参った!」
「「天海!!」」
驚愕の声があがる。あたしはそんなの気にせず、列車内を見渡す。十人ほど隊士がいるけど、お目当ての姿がない。チッと舌打ちをした。
「列車、間違えたようね。近藤さんがいない」
「近藤なら隣の車内さ」
カツン、と前に出て来たのは鴨だった。
「ちなみに、沖田君はそのまた隣の車内。僕を裏切ってくれてね。ここにいる隊士の何倍もの隊士とやりあうつもりらしい」
「総悟…」
総悟もまた、近藤さんのために戦っているんだ。なら、あたしも頑張らなきゃ。
「…鴨。もう、やめて」
声を抑えて、言う。鴨は答えずに、眼鏡をカチャ、と押し上げた。
「こんなことして何の意味があるっていうの?…もう、みんなバラバラになってしまった」
ぐっ、とこぶしを握る。鴨は表情を変えずにあたしに言う。
「あなたはやはりあちら側につくというのか?」
あちら側、というのは土方派ということで。ゆっくりと目を閉じて、胸に手を当てる。
「…あたしは。元の真選組に戻って欲しいだけだよ。総悟がトシにいたずらして、トシが怒って追いかけまわして…近藤さんが豪快に笑って、その横にあたしがいて。みんながいる…もちろん、鴨もいる真選組に戻りたい」
みんなが、笑っていた真選組を取り戻す。それが、あたしの使命。
ゆっくりと目を開けると、鴨のポーカーフェースに陰りが見えた気がした。
「……。おめでたい人だ。もう戻れないんだよ」
「戻してみせる。あたしが!!」
「…ふっ、やはり惜しいな。天海さん、こちらに来ないか?新しい真選組で、副長補佐などよりこの僕の補佐、局長補佐にしてあげよう」
予期せぬ鴨の誘いに目を見開いたが、きっぱりと即答した。
「断る。いらない、それじゃ意味ないのよ。あたしの居場所はそこじゃない。あたしの居場所は近藤さんの真選組!!近藤さんに助けてもらったこの命。真選組のためなら、捨ててもいい!!」
あたしの叫びに、鴨だけでなく隊士も驚きを見せた。近藤さんに命を救われた…ということが初耳な人が多いからだ。鴨は一瞬悲しそうな表情を見せてまたポーカーフェースに戻った。
「!………残念だよ、実に残念だ。僕は君の事を気に入っていたのに。僕につかないと言うのなら…やれ!!」
「…!!」
鴨の合図に合わせて、隊士達が抜刀する。鴨は誰かのバイクが迎えに来たらしく、列車から出て行った。
隊士達はたらりと汗を流しながら、刀を構える。仲間を斬るなんて、絶対にしたくないけど。この場合は例外だ。
「…来い。この真選組副長補佐が、直々に裁いてあげるわ」
あたしも愛刀に手をかけ、スラリと抜いた。ギラリと睨むと、隊士達は一瞬怯えてから、その気持ちを振り切るように叫んで襲いかかってきた。
「「うおおおおおおっ!!」」
「はぁあぁっ!」
本能のまま、全身全霊でただ振るい続ける。火花と金属音、破壊音。それと、赤い鮮血が終始止まずに飛び散っていた。
*
「…やはり、惜しかったか」
「ずいぶんあの女に執着してるでござるな」
「…そういう訳ではない」
「素直じゃないでござるな。…にしても、あれが天海理御、か。あれが…晋助が言っていた女子…。なかなか面白いリズムでござる。興味深い」
「何か?」
「いや」
押して参る
帰る場所を取り戻すために。