THEみかん
あの後。
日向ぼっこを楽しんで銀さんと別れた後、大変だった。あたしの事を全隊士で捜索中だったらしく、帰るなりトシのお説教、珍しく総悟が甘えて来て、近藤さんなんて泣きそうな感じだった。心配かけてしまった。ちなみに、首輪と鎖は見るなり総悟が斬った。何も言わずに斬りおとすものだからびっくりした。
帰る場所があるって、いいなあ。
みんな疲れた様子だったけど、謝りながらも思わず頬がゆるんでしまった。

それが昨日の事。

今日は、一夜明けたけどなんか疲れがとれないような感じで、仕事をする気になれない。なんでだろ。そういうことで、仕事をサボる総悟となぜかいる近藤さんと一緒に、のんびりとみかんを食べていた。


「このみかん甘っ。おいしー!」


もぐもぐと食べていると、ダルそうな総悟が頬杖をついて言った。


「俺にも剥いてくだせェ」

「自分でしてよ」

「手が汚れるだろィ」

「あたしは汚れても良いっていう事?」

「もちろん」

「うわードS!」


さすが総悟。すると、近藤さんが剥きかけたみかんをあたしに差し出した。


「理御ちゃん、俺にも剥いてくれたら嬉しいなー!」

「近藤さんはバナナがいいんじゃない?」

「ゴリラじゃないからねェェェ!?」


いじけながら結局自分で剥き、食べた。バナナじゃなくていいのかな?いやホントに。
やっぱり、寒いときにはみかんだよね。コタツでみかん、これ常識。コタツじゃないけど。ぱくりと粒を口に入れると、襖が開いてトシがやって来た。


「何やってんだ。仕事やれ仕事」

「やだなあ、トシってば、仕事仕事って。たまには息抜きも大事よ」

「理御の言うとおりでさァ」


あたしの言うことに賛同しながら、総悟がみかんを口に放った。あ、それ、あたしのみかん!


「総悟の仕事がこっちに回って来てんだよ!お前は仕事をやれ!」

「ま、そうカッカせずに」

「そうでィ、怒りすぎると頭に血ィのぼって死ね土方」

「みかん食い過ぎて死ね沖田!」

「子供の言い合いよね」

「まあまあ、とりあえず、息抜きにトシも食え!ほら、みかん!」


近藤さんがトシにみかんを投げる。みかんを受け取ったトシが、しぶしぶ座る。煙草を消してみかんを剥き始めると、総悟も剥き始めた。手が汚れるだのなんだの言ってた割には、結局剥いてるじゃん。かと思えば、一粒をトシに向かって潰した。


「みかんビーーム」

「っがぁあ!汁が!目に入ったァァァ!斬るぞてめェェェ!!」

「大成功でさァ」

「キメ顔すんな!」


ガキか。アホだ。思いつく事が子供だ。折角ゆっくりみかん食べてたのにまたぎゃあぎゃあと騒ぎ出す。なぜか近藤さんまで混ざり始めた。


「もー、結局こうなるのね」


苦笑いして最後のみかんを口に入れた。







THEみかん

(みかんなくなった、つーわけで買って来いザキ)
(いってらっしゃいザキ)
(急になんなんですか!!)
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