見廻り中の事。どかんと目の前に人が落ちてきた。…なにがおきた…
「げほん、ごほんッ。アッハッハ、ここはどこじゃ?また不時着してしもうたかの」
「いや不時着どころじゃないわよどう考えても。大丈夫?」
恐ろしい勢いで突っ込んで来たのに慣れっこだとでもいうようにあまり傷はない。モジャモジャ頭のグラサン男に手を差し出した。男はきょとんとあたしを見た。
「捕まって。立てる?」
「…お、おう」
立ち上がった男は、まじまじとあたしを見下ろして頭から足まで舐めるように眺めた。
「…な、何よ」
「…おまん、名前は何て言うとか?」
「…天海理御」
理御か、と繰り返してにっと笑う。
「おまん、良い女じゃの!わしと一緒に宇宙に行ってみんか?」
「はい!?」
まさかこんなとこでそんなセリフでナンパされるなんて。すたすたと去ろうとしたが、腰を掴まれた。
「つれないのォ。わしは坂本辰馬ぜよ。宇宙で商いをしとる」
にっこりと笑顔のまぶしい坂本さんに、ひきつりながらも答えた。
「そうですか。あたしは真選組の副長補佐よ。あんまりしつこいとセクハラで逮捕するわよ」
「あんりゃ、おまん真選組か!こりゃ困った奴に惚れたもんじゃ、アッハッハ!」
この格好でわからなかったのかな。ていうか、惚れたなんて…
「冗談でしょ?」
「わしはいつでも本気ぜよ」
また不思議な人と会ったものだ。ハハ、と引きつった笑みをする。坂本さんはあたりを見渡した。
「理御、ここはどこじゃ?」
「ここは江戸だけど」
「おお、そうかそうか!んじゃあ金時って知っとるか?万事屋の」
万事屋の金時?銀時じゃなかったっけ?銀さんの事よね。
「銀さんなら知ってるわ。そこに行きたいの?ここからは少し遠いわよ?案内しましょうか?」
あたしが聞くと、坂本さんはボサボサの頭をかきながらへらっと笑った。
「すまんのォ、よろしく頼むぜよ」
「ま、これも仕事のうちよ」
歩いて行くと遠いなあ。運よくタクシーなんて通らない。仕方ないけど歩いて行くか。
「歩いて行っていい?少し遠いけど」
「構わんぜよ。江戸もゆっくりみたいと思うたとこじゃき」
「そ。なら行こうか。あたし今見廻り中だったからね、見廻りしながら行くから」
「了解ぜよ」
そうは言っても、事件なんて簡単に起きないし、そんなにすることもないんだけどね。何事もなければの話だけど。
歩きながらふと坂本さんを見ると、思った。身長高いな…あたしなんか、めっちゃ小さいじゃん。見上げないといけないじゃん。なんか悔しいな…。凝視していると、坂本さんがあたしの視線に気がついた。
「何じゃ?わしに惚れたか?」
「違う!…身長高いなって」
「ほうか?理御はちっこいのう!アッハッハ!」
ポンポンと頭を撫でられ、むうとふくれる。これでも女の中では身長高いほうなのよ!
「銀さんと友達なの?」
「まあそんなもんじゃ」
「ふぅん」
銀さんにもいろんな友達がいるものだ。やはり、万事屋していると顔が広いのかな。話しながら歩いていると、刀を帯刀している奴を見つけた。攘夷浪士だ。
「あー…めんどくさいな。会っちゃったわ」
はぁとため息をつく。坂本さんがいるってのになあ…楽しそうな坂本さんを振り向いた。
「あの、坂本さん。ちょっと仕事しなくちゃいけなくてさ。ちょっとだけここで、待ってて」
「分かったぜよ」
手頃なベンチに座らせると、刀のつばを弄りながら攘夷浪士に近づいて行った。刀を抜き、攘夷浪士に突きつける。
「はぁい、攘夷浪士さん。御用改めである。おとなしくお縄につきなさい」
「くそっ!真選組か!しかし女一人!やっちまえェェェ!」
「「うおおお!」」
四人の攘夷浪士が刀を構えて向かってくる。
ったく、これだから下っ端は駄目ね。あたしの顔くらい知っておかないとね?これ常識___なのかは知らないけれど。迎撃の体勢に入ったそのとき、後ろからパァンと音がして向かって来た男が一人叫びを上げた。
「ぐっああ!!」
「こらこら、おなご一人に寄ってたかっちゃいかんぜよ。そんなに叫ばなくても大丈夫じゃ、かすっただけじゃき」
振り向くと、銃を手にした坂本さんが立っていた。
「坂本さん!?」
「何しちょるかと思って様子見に来てみれば、危ないことしよる。わしがやっちゃる。さがっとれ」
「いや、これは仕事なの。一般人巻き込むワケにはいかないから」
だから下がってて、と手で制すとしぶしぶ下がってくれた。優しいな、でもこれはあたしがすることだ。
「さ、仕切り直しよ。来いッ」
チャキ、と刀を構えると男達を相手にする。
ギン、キィンッ!
流れるような刀さばきで刀を流しながら斬りつける。上から振り下ろされようとしたが刀をかざして受け止め、その相手の腹に蹴りを入れる。どんどん致命傷を負わせ、あっという間に片付いた。
「おわりっ!よし、縄で結んで…電話しなくちゃ」
刀を収めて縄を取り出し、ぐるぐると四人まとめて縛っていると、ずっと眺めていた坂本さんが口を開いた。
「理御…」
「なに?」
「…ますます惚れたぜよ!やるのお、おまん!」
「………はぁ」
なぜか楽しそうに近寄ってくる坂本さん。ため息とも相槌ともとれる声を出した。縛り終えると、携帯でトシに電話した。こいつら連れて行ってもらわなくちゃね。
「もしもし、トシ?理御ですけど」
『おう、どうした?』
「攘夷浪士を四人確保。縛り上げたから回収頼むわ。こっちはちょっと用事あるから」
『用事?』
「行かないといけない所がある___はうっ!」
電話中だというのに、坂本さんが背中をつーっとなぞり、背中を反らせる。へ、変な声出た!!
『あ?』
「な、なんでもない。じゃあ頼んだからね!」
慌てて通話を切った。
「ちょっと!電話中っ!」
「アッハッハ!」
「アッハッハじゃない!」
もう、行くわよ!と早歩き。
「まあまあ、そう怒るな理御!」
「おいてくからね!」
「めんこいのー、アッハッハ!」
早歩きしたってあっちは普通に歩いてるも同じ。歩幅の差を感じた。すると、坂本さんが隊服を引っ張る。
「お、理御、団子屋じゃ!おごってやるから食べるぞ!」
「団子?坂本さん、万事屋に行くんじゃないの?」
「寄り道じゃ!あと、坂本さんじゃなくて辰馬ぜよ!」
手を引っ張られて団子屋に入る。二人でみたらしを食べながら、一息休憩をすることにした。
宇宙の商売人
(おーい、団子追加じゃ!)
(あ、こっちも!)
「げほん、ごほんッ。アッハッハ、ここはどこじゃ?また不時着してしもうたかの」
「いや不時着どころじゃないわよどう考えても。大丈夫?」
恐ろしい勢いで突っ込んで来たのに慣れっこだとでもいうようにあまり傷はない。モジャモジャ頭のグラサン男に手を差し出した。男はきょとんとあたしを見た。
「捕まって。立てる?」
「…お、おう」
立ち上がった男は、まじまじとあたしを見下ろして頭から足まで舐めるように眺めた。
「…な、何よ」
「…おまん、名前は何て言うとか?」
「…天海理御」
理御か、と繰り返してにっと笑う。
「おまん、良い女じゃの!わしと一緒に宇宙に行ってみんか?」
「はい!?」
まさかこんなとこでそんなセリフでナンパされるなんて。すたすたと去ろうとしたが、腰を掴まれた。
「つれないのォ。わしは坂本辰馬ぜよ。宇宙で商いをしとる」
にっこりと笑顔のまぶしい坂本さんに、ひきつりながらも答えた。
「そうですか。あたしは真選組の副長補佐よ。あんまりしつこいとセクハラで逮捕するわよ」
「あんりゃ、おまん真選組か!こりゃ困った奴に惚れたもんじゃ、アッハッハ!」
この格好でわからなかったのかな。ていうか、惚れたなんて…
「冗談でしょ?」
「わしはいつでも本気ぜよ」
また不思議な人と会ったものだ。ハハ、と引きつった笑みをする。坂本さんはあたりを見渡した。
「理御、ここはどこじゃ?」
「ここは江戸だけど」
「おお、そうかそうか!んじゃあ金時って知っとるか?万事屋の」
万事屋の金時?銀時じゃなかったっけ?銀さんの事よね。
「銀さんなら知ってるわ。そこに行きたいの?ここからは少し遠いわよ?案内しましょうか?」
あたしが聞くと、坂本さんはボサボサの頭をかきながらへらっと笑った。
「すまんのォ、よろしく頼むぜよ」
「ま、これも仕事のうちよ」
歩いて行くと遠いなあ。運よくタクシーなんて通らない。仕方ないけど歩いて行くか。
「歩いて行っていい?少し遠いけど」
「構わんぜよ。江戸もゆっくりみたいと思うたとこじゃき」
「そ。なら行こうか。あたし今見廻り中だったからね、見廻りしながら行くから」
「了解ぜよ」
そうは言っても、事件なんて簡単に起きないし、そんなにすることもないんだけどね。何事もなければの話だけど。
歩きながらふと坂本さんを見ると、思った。身長高いな…あたしなんか、めっちゃ小さいじゃん。見上げないといけないじゃん。なんか悔しいな…。凝視していると、坂本さんがあたしの視線に気がついた。
「何じゃ?わしに惚れたか?」
「違う!…身長高いなって」
「ほうか?理御はちっこいのう!アッハッハ!」
ポンポンと頭を撫でられ、むうとふくれる。これでも女の中では身長高いほうなのよ!
「銀さんと友達なの?」
「まあそんなもんじゃ」
「ふぅん」
銀さんにもいろんな友達がいるものだ。やはり、万事屋していると顔が広いのかな。話しながら歩いていると、刀を帯刀している奴を見つけた。攘夷浪士だ。
「あー…めんどくさいな。会っちゃったわ」
はぁとため息をつく。坂本さんがいるってのになあ…楽しそうな坂本さんを振り向いた。
「あの、坂本さん。ちょっと仕事しなくちゃいけなくてさ。ちょっとだけここで、待ってて」
「分かったぜよ」
手頃なベンチに座らせると、刀のつばを弄りながら攘夷浪士に近づいて行った。刀を抜き、攘夷浪士に突きつける。
「はぁい、攘夷浪士さん。御用改めである。おとなしくお縄につきなさい」
「くそっ!真選組か!しかし女一人!やっちまえェェェ!」
「「うおおお!」」
四人の攘夷浪士が刀を構えて向かってくる。
ったく、これだから下っ端は駄目ね。あたしの顔くらい知っておかないとね?これ常識___なのかは知らないけれど。迎撃の体勢に入ったそのとき、後ろからパァンと音がして向かって来た男が一人叫びを上げた。
「ぐっああ!!」
「こらこら、おなご一人に寄ってたかっちゃいかんぜよ。そんなに叫ばなくても大丈夫じゃ、かすっただけじゃき」
振り向くと、銃を手にした坂本さんが立っていた。
「坂本さん!?」
「何しちょるかと思って様子見に来てみれば、危ないことしよる。わしがやっちゃる。さがっとれ」
「いや、これは仕事なの。一般人巻き込むワケにはいかないから」
だから下がってて、と手で制すとしぶしぶ下がってくれた。優しいな、でもこれはあたしがすることだ。
「さ、仕切り直しよ。来いッ」
チャキ、と刀を構えると男達を相手にする。
ギン、キィンッ!
流れるような刀さばきで刀を流しながら斬りつける。上から振り下ろされようとしたが刀をかざして受け止め、その相手の腹に蹴りを入れる。どんどん致命傷を負わせ、あっという間に片付いた。
「おわりっ!よし、縄で結んで…電話しなくちゃ」
刀を収めて縄を取り出し、ぐるぐると四人まとめて縛っていると、ずっと眺めていた坂本さんが口を開いた。
「理御…」
「なに?」
「…ますます惚れたぜよ!やるのお、おまん!」
「………はぁ」
なぜか楽しそうに近寄ってくる坂本さん。ため息とも相槌ともとれる声を出した。縛り終えると、携帯でトシに電話した。こいつら連れて行ってもらわなくちゃね。
「もしもし、トシ?理御ですけど」
『おう、どうした?』
「攘夷浪士を四人確保。縛り上げたから回収頼むわ。こっちはちょっと用事あるから」
『用事?』
「行かないといけない所がある___はうっ!」
電話中だというのに、坂本さんが背中をつーっとなぞり、背中を反らせる。へ、変な声出た!!
『あ?』
「な、なんでもない。じゃあ頼んだからね!」
慌てて通話を切った。
「ちょっと!電話中っ!」
「アッハッハ!」
「アッハッハじゃない!」
もう、行くわよ!と早歩き。
「まあまあ、そう怒るな理御!」
「おいてくからね!」
「めんこいのー、アッハッハ!」
早歩きしたってあっちは普通に歩いてるも同じ。歩幅の差を感じた。すると、坂本さんが隊服を引っ張る。
「お、理御、団子屋じゃ!おごってやるから食べるぞ!」
「団子?坂本さん、万事屋に行くんじゃないの?」
「寄り道じゃ!あと、坂本さんじゃなくて辰馬ぜよ!」
手を引っ張られて団子屋に入る。二人でみたらしを食べながら、一息休憩をすることにした。
宇宙の商売人
(おーい、団子追加じゃ!)
(あ、こっちも!)