もう掃除どころじゃない
押し入れの中身を一通り出し終えた。もう山のように所狭しと並んでいる。
ザキはいちいちツッコミをしていたので、かなり疲れたようだ。あたしはまだまだ全然疲れてないけどね!


「よーし、あとはこれらを処理して…っと」


後ろを振り向き、バズーカとライフル、スタンガンを両手いっぱいに抱える。お、重っ…。
ザキもダンボールを抱えて立ち上がろうとしたとき、ん?と声をあげた。


「あれ?これ…アルバム…?」

「アルバムッ!?嘘、アルバムまで入ってた!?」


ザキがダンボールを下ろして、転がっていたアルバムを手にとる。あーーっ、そのアルバムはっ、


「だめーっ!」


慌ててガチャン!と武器を置き、ザキに手を伸ばす。ザキはさっとあたしを避けて中を開いた。


「うわ、これ理御さん!?かわいい…!ちっさ!」

「ちょっとっ!ザキーっ!ダメだってばっ!ジミィィィ!」

「なんでですか、かわいいですよ理御さん!」

「このミントン野郎ォォォッ、返せェェ!あんぱんあげるから!」

「えーっ、もうちょっと!っていうかミントン野郎ってなんですか!?あんぱんで釣ろうとしないでください!」

「もぉぉぉっ、トシ呼ぶわよっ!切腹じゃぁああっ」


叫びながらスタンガンを手に掴み、逃げるザキを追いかける。


「スタンガンんんん!?落ち着いてっ、ぎゃぁあああっ」

「おいこらジミィィィ!」


だってアレには、あたしの小さいころの写真が詰まっている。昔、武州にいたころのやつとか、幼いときのやつとか、お父様やお母様といたころのやつとか。それだけならまだしも、変顔したやつとか、たしか裸に近い格好で寝てたのもあったはず。あんなの恥ずかしすぎるゥゥゥ!!
屯所内をドタバタと恐ろしい勢いでイタチごっこ。すると、急に目の前のザキがこけた。


「ぶへっ」

「ぎゃっ!?」


目の前でこけたものだから、あたしも重なるようにコケる。なっ、なにがおきたの!?ザキの上でむくりと顔をあげると。


「ぷっ、こけてやんの」

「……」

「……」


ドSがいた。そのドSは、ザキが持っていたアルバムをさりげなく取る。あああああ!!悪魔の手に渡ってしまったァァァァ!!


「…これ、理御かィ?へー。いいモン見つけやした。でかしたザキ」

「あ…えっと…」

「総悟ォォォォ!?どこいくの!?やめようかっ、ねえ理御ちゃん嫌がってるからっ、恥ずかしいって言ってるから!!」


総悟なら見せびらかすどころじゃない、焼き増しして引き伸ばしして売り飛ばしかねないっ!必死で取り返そうとするけど、こけたとき足ひねっちゃったよ!!


「じゃ、理御。もらってくから」

「ああああっ!!」


あたしの叫びも虚しく、総悟はイキイキして去って行った。ああ…終わった。捨てとけば良かった……


「…あの、理御さん」

「…なに」


絶望感を味わっていると、下からザキがおずおずと声を出した。


「すみません…」


あたしは何も言わずにスタンガンをザキにぶち当てた。








もう掃除どころじゃない

(補佐の小さい頃ってめっちゃ可愛いですね!)
(うんうん!愛らしい!)
(みんな言ってますよ!)
(…消えたい…)
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