大掃除しようか
たまには大掃除でもしようかと、思い立ったが吉日だ。


「さあ、やるわよザキ!」

「なんで俺が…」

「つべこべ言わない!」


割烹着姿になって髪はおだんごにして、マスクしてはたきもって準備完了。隊服を脱がせ、腕まくりをさせたザキを従えて腰に手を当てた。なんでザキがいるかって?暇そうにミントンしてたから。サボるくらいなら強制連行ですよ。


「あたしの部屋へれっつごー!」

「え、理御さんの部屋っ!?俺入っていいんですか!?」

「今日だけね。しっかり手伝ってよね」

「うわ、レアじゃないスか」

「そんな緊張しなくていいわよ。ちょっと散らかってるけど」

「はい…」


いつもは立ち入り禁止のあたしの部屋。かといって、入らないと掃除は出来ないからね。


*


あたしの部屋の扉を開ける。


「うわっ、え!?ここ理御さんの部屋ですか!?」

「そうだけど」

「めっちゃキレイじゃないですか!」


そう言われるとなんか照れる。まあ、いらないものは置かない主義だし、こざっぱりしているとは思う。これでも散らかってる方だよ。


「どこ掃除するんですか?」

「押し入れくらいしかないわ」

「なんだ、押し入れだけなら俺いらなかったんじゃないですか?」

「いるいる」


押し入れを開けると、中は物であふれかえっていた。


「押し入れにいろいろ詰め込んでるからね。今年こそはキレイにしたいの」


そう言って、中からどんどん出して行く。いらないものは全て捨てよう。ここ何年か押し入れの中身出してなかったから、懐かしいものばかり。


「これはぬいぐるみ達。あー、すてるのもったいないなあ」

「ステファン…?」

「これはジャスタウェイ」

「なんで!?」

「もらいもの」

「こんなに!?もらいすぎでしょ!!」


たくさんのステファンのぬいぐるみとジャスタウェイの置物は、全てもらいもの。


「あー、これ使わなくなった武器がたくさん」

「バズーカ、マシンガン!?スタンガンやライフルまで!?なんでこんなのが押し入れにあんの!?おかしいですよね!?若い女の人の押し入れにあってはいけないものが!!」


ザキがあたしの武器を見て驚く。驚きすぎだろ。あたしこれでも副長補佐だぞ。こんなんの一つや二つ、あるに決まってんじゃん。一つや二つどころじゃないけど。


「まあ、スタンガンは使おうかな。あとは近藤さんに押し付け…ごほん、あげることにしよう。」

「押し付けるって言いかけましたよね!?」

「うるさいわね」

「認めた!!」


次に出したのは今はほとんど使ってないゲーム機。


「おお、これはオヴェーじゃん。マリカあるし、今度遊ぼうっと」

「こっちはプレステですよ」

「こっちはファミコンもあった」

「どんだけゲーム機あんの!?っていうか、それ以前にこの押し入れ中身ありすぎだろォォォ!!なにこれ四次元ポケット!?」

「違うよ、四次元ボックスよ」

「否定するとこ違うから!」


押し入れは見た目小さいのに、大きい物ばかりがたくさん出て来ている。特に武器類がデカいしゴツい。…この押し入れって、どうやって作ってあるんだろう…それはあたしも謎だ。


「これはっ!」

「?ダンボール?」


あたしがつぎに取り出したのは、これまた大きいダンボール。中身をあけると、小さくなった昔の隊服や着物、変装道具がごちゃごちゃ入っていた。


「うわっ、懐かしー!これ、隊服小さいー!着てみようかな、きっとピッチピチだよ!」


テンションが上がり、体にあててみる。スカートがお尻のところだった。こうしてみると、やっぱ成長してるんだなあと実感。


「やめてください、俺がいるんですから」

「なんでよ。いたっていいじゃん。あ、いる?」

「いるかァァァ!」

「え、いらないの?」

「なんで意外そうにしてるんですか!?もらってどうしろと言うんですか!?」

「じゃあこれは捨てよう」

「無視ィィィ!?」


着物も捨てよう。あとは変装道具だけど、これこそザキがいりそうだ。密偵だからね、変装とか女装とかすることがあるから。


「あげる。これはいるでしょ?」

「あ、変装道具ですか?でも俺間に合ってるんでいらないです」

「えー?ほら、これとかいいじゃん」


黒い袋から出して見せたのは、宴会用の鼻メガネ。


「いらねェェェ!」

「いやいや使うはずよ、密偵だもん」

「これしてスパイとか怪しすぎるでしょーが!!」

「ほら、つけてみて……」

「うわ、やめっ!」

「ブフぅっ」

「笑うなァァァッ」

「そんなっ、こと言ったってっ、ぶっ、無理ィィィ!」


意外にもかなり似合ってて、腹をかかえて爆笑していると、ザキはとって折ってしまった。あーあ、折っちゃった。なんかもったいないような気がするなあ。







大掃除しようか

(これも、それも…)
(多っ!!)
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