反撃開始
だっと地面を蹴り、佐々木さんを狙って右手の刀を振り下ろす。が、当然のごとく避けられる。女だからか、手を抜いているようでかわす事のみしてくる事に少しイラついた。
頭、首、胴、手、足。斜め、下から、切り上げ、突き。もともと力では敵わないんだ、速さと数でどうにかしなきゃ…!相手に、攻撃する暇を与えないッ!

右手の自分の刀を主に、左手の槍のように逆に握った刀も使い、本能のまま目にも止まらぬ速さで振るっていると、一回だけだが、シュッと佐々木さんの腕に傷が入った。それを合図にしたかのように、銃を取り近距離で発砲して来た。
こんな近くで銃なんて予想外…!あたしは苦し紛れに二本の剣をクロスさせて刃に弾丸を当て、後方へジャンプしなんとか回避する。あ…危なっ!!
顔には動揺を見られないようにしてても、かなり間一髪だったので心臓バクバクだ。


「あなたも踊りなさい」


ジャキンと刀と銃を構えて、撃ってくる。これはトシのときのパターンだ、避けたら刃、避けなくても弾丸って鬼畜なやつ。このためにもう一つの刀を用意してたのよ、あたしは!!


「っはァァ!!」

「!」


弾丸を左手の刀に当て、盾がわりに使う。そしてそのまま突っ込み、両手とも振り下ろすっ!


ガキィン!!

「…そう来ましたか」


佐々木さんが刀で受け止める。さっき言ったとおり、あたしは二刀流なんて本当は全く出来なくて、こうやって二本の刀を同時に扱うのには慣れてない。あっさり押し負け、ザザッと後ろに下がった。


「っく…」


次々と弾丸が飛んで来て、刀で防ぐもあまりの数に捌き切れずに肩や腹をかすった。痛みに顔を歪めるが、構わずに腹にめがけて横一文字に振り抜く。そのまま身をかがめて脚を横一文字に振り抜くが、惜しい所でそれもかわされた。
今度はあちらが地面を蹴り、刀を振るう。受け止めるが、力では敵わず、押し負けてしまい、間合いをとって地面に手をつく。それを待っていたかのように銃撃が襲ってくる。刀を口にくわえて片手を地につき、横に飛んで回避した。


「…ハァ…ハァ…」


激しい闘いに息があがる。もうかなり傷が増えて来た。
息を整え左手の刀を普通に握り、刀を構え直し、だっと駆け出す。渾身の力で振り下ろすと、相手は少しよろけて受け止める刀も揺らいだ。ギィンと音をたてて刀と刀が離れる寸前、シャッと右手をすばやく動かし、突く。


「!!」


すると、ドッと手応えがあり、相手に赤い血がにじむ。
しかし、やったと思ったそのとき脇腹を熱く鋭い痛みが襲った。いつのまにか弾丸が当たっていたのだ。貫通していて、血が止まらない。くそ…!脇腹に手を当てる。血が止まらない…貫通してる。やっちゃったなー…まあ、でもまだいける。

すると、背後に気配を感じて振り向く。するとそこには、トシが立っていた。


「…トシ…!」

「理御…刀」


言われるまま、あたしが持っていた刀を渡す。


「副長ォォ!やめてください!!お願いだから…!!もういいから!!副長ォォォ!!」


鉄の叫び声が聞こえる。


「どうやら完全に息の根を止めねば絡みついてくるようですね」


ドォンドォンと弾丸がトシの脇を通り過ぎて行く。あたしは脇腹を押さえながら、その成り行きを眺めている事しか出来なかった。


「そこをどきなさい、バラガキ」


ひときわ大きな銃声が鳴り響く。避けねば弾丸、避けても刃。
絶体絶命____
トシは大きく一歩踏み出し、避けずに弾丸ごと銃ごと真っ二つに貫いて、佐々木さんの肩を貫いた。壁に激突し、ものすごい音を出した。


「そうして飾られてんのがお似合いだぜ、きたねぇバラよ。戦場にはてめーらの咲く花畑なんてねェよ」


そう言ってニヤリと笑う。佐々木さんは貫かれたまましばらく黙っていたが、淡々と言い放った。


「時間切れです土方さん」


そのとき鉄のいる廃ビルの屋上からたくさんの雄叫びが聞こえた。まさか____!


「やれェェェ!!一人残らず殲滅せよォォォ!!」


見廻組が突入した…!トシが舌打ちをして、叫ぶ。


「理御!!行けェェェ!!!」

「言われなくてもッ!!」


あたしは刀を鞘におさめて鞘に長い縄を結び、それを廃ビルめがけて投げる。ガコォン!と刀が廃ビルの屋上付近の階に突っ込み、ひっかかったのを確認するとターザンロープのように一気にそこへ移動した。壁にぶつかりそうになったところで刀を取り、壁を思い切り走って蹴り上げジャンプする。見廻組のやつらに今にも斬られそうな鉄が見える…!


「やらせない」


着地と同時に全て斬った。膝を地面について着地し、チンと刀を鞘におさめた。ギリギリセーフ…!!内心、ホッとするあまり自画自賛していた。
見廻組が全て倒れて、顔をあげると見覚えのある奴が携帯片手に立っていた。


「こっからは俺の好きなようにやっていいんだな」


ぎ、銀さん…!?







反撃開始

(なかなか、骨がある副長補佐殿ですね)
(フン…当たり前だ)
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