「つっかれたァァァ!」
どさっと後ろ向きに倒れる。ずっと正座していたから、足がしびれて動けない。
「おい、理御サボんな。今日は特に始末書が多いんだからな」
「まあまあ。でもこっちの死人は一人もいないから結果オーライよ、トシ」
「…理御の痕事件の始末書もあんだからな」
「うっ…あれは不可抗力で…」
今副長室で昨日の始末書を書いているのだが、それの多いこと多いこと。その中にあたしの始末書もある。高杉に会った事だ。あたしは何にも悪い事してないのに。高杉につけられた痕は今日も消えてなくて、髪を横にしばって隠している。
「ていうか、サボってないわよ。もう終わったもん!」
「あァ?いつのまに…早えな」
「あたぼーよ。やるときゃやるのよ、あたしは」
ごろんと畳に寝転がりながらどや顔をして見せた。それを見下ろしたトシは、じっと見つめて来たかと思うとそっぽを向き、ぼそりと話した。
「…高杉とは、何話したんだ?」
「んー、まあ…ちょっと昔話を。説得なんて出来るはずなかったけどね」
「説得って…馬鹿かお前」
「だってさ…昔のあたしと似てたのよね、高杉」
「昔の理御と?」
「うーん…まあちょっとだけね」
むくりと起き上がり、俯いた。
世界を恨んでいた事。
今だ世界を恨み、壊そうとする高杉と、世界を恨むのをやめ、護ろうとするあたし。
今は全く反対だけど。
「ったく…少し目を離すとコレだからよ。いいか、知らない奴にむやみやたらに話しかけんな。確かに理御は強えが、女なんだからな。特に高杉にはもう近づくなよ。分かったかコラ」
ゴン、と頭を小突かれる。そんなに痛くないが、頭をさする。
「はいはい。もー、トシはお母さんみたいね」
「誰がてめーのお母さんだ」
不機嫌そうにあたしを睨む。
「お父さんは近藤さん。総悟は弟って感じかなあ。生意気な。ミツバさんはお姉ちゃんだわ、間違いなく」
「総悟が息子はやめろ。いつも母親の殺人未遂してるとか、どんだけ反抗期なんだよ。反抗期っていうより犯行期だろーが」
「あはは!たくましい一家だね」
想像するだけでカオスな一家だ。
…ところで。ずっと仕事してたから、喉が乾いた。お茶でも飲んでこようかな。
「お茶飲んで来るわ」
「あ、俺も行く。一服してェし」
立ち上がったトシに続き、すっくと立ち上がる、と。
びきんと足に衝撃が。
「〜っ!!」
そういえば足しびれてたんだったァァァ!!足が麻痺してふらりと倒れる。
「おわっ」
どてんっ。
いったァァァ!頭打ったァァァ!
「いったたたた…」
涙目になりながら目を開けると、すぐ近くにトシの顔があった。そばにいたトシもろとも倒れこんでしまったらしい。あたしの両側に手をつき、あたしを下に敷いている状態。ぱちくりと何度か瞬きを繰り返した。
「ご、ごめんトシ。巻き込んじゃったのよね、怪我ないよね?」
「……お前、この状況でんなこと言うか?フツー」
「は?何がよ。ってか、早くどいてよ。動けないんだけど」
今だに顔は近い。あ、トシ、煙草の匂いがする。………なんか、いい匂い……
その時。
ドオオオン!!
「うごべあっ!!!」
「ぎゃぁぁああ!!」
ふすまが開け放たれ、トシがぶっ飛んだ。衝撃で、書類がひらひらと散らばった。バズーカで誰かがトシめがけて撃ったようだ。こんなことするのは…
「総悟っ!!」
「なんで理御を襲ってんですかィ土方さんよォ。理御、大丈夫かィ?」
「副長室でバズーカぶっ放す総悟の頭が大丈夫じゃないわ」
「心配いらねェ、ちゃんと小型のバズーカでさァ」
「そういう問題じゃなィィィ!」
ガチャン、とバズーカを肩にかつぐ総悟が不機嫌そうに見下ろして来る。あたしはむくりと起き上がり、のびてるトシを見た。
「トシ、生きてる?」
「てか死ね土方」
「…っなにしやがる総悟ォ!!」
「土方さんこそなにしやがってたんですかィ」
「あ、あれは事故でだな…!」
飛び起きたトシは急にしどろもどろになって言い訳しだした。
「言っちゃお、言っちゃお。おーいみんなァ、土方さんが理御を襲ってたぞォオオ」
「おい待てェェェ!!」
大声で叫ぶものだから、きっと全隊士に聞こえているだろう。すると、ドタドタと足音が聞こえて、近藤さんがスライディングしてきた。
「なんだとトシィィィ!!」
「ちげェェェ!!」
「近藤さん、どうやら土方さんからも理御の貞操を守らないといけねェみてェでさァ」
「いくらトシでも理御ちゃんは…!!いや、トシならば…」
悲しそうな顔でうんうんとうなる近藤さんと、また言い合うトシと総悟。
「………お茶飲んでこよ」
呆れたため息をつきながら、スタスタとその場を後にしたのだった。
そんなつもりはなかった
(じゃあどんなつもりだったんでさァ)
(事故だったんだよ!!)
(見苦しいぞトシ…!)
(近藤さんまで!)
どさっと後ろ向きに倒れる。ずっと正座していたから、足がしびれて動けない。
「おい、理御サボんな。今日は特に始末書が多いんだからな」
「まあまあ。でもこっちの死人は一人もいないから結果オーライよ、トシ」
「…理御の痕事件の始末書もあんだからな」
「うっ…あれは不可抗力で…」
今副長室で昨日の始末書を書いているのだが、それの多いこと多いこと。その中にあたしの始末書もある。高杉に会った事だ。あたしは何にも悪い事してないのに。高杉につけられた痕は今日も消えてなくて、髪を横にしばって隠している。
「ていうか、サボってないわよ。もう終わったもん!」
「あァ?いつのまに…早えな」
「あたぼーよ。やるときゃやるのよ、あたしは」
ごろんと畳に寝転がりながらどや顔をして見せた。それを見下ろしたトシは、じっと見つめて来たかと思うとそっぽを向き、ぼそりと話した。
「…高杉とは、何話したんだ?」
「んー、まあ…ちょっと昔話を。説得なんて出来るはずなかったけどね」
「説得って…馬鹿かお前」
「だってさ…昔のあたしと似てたのよね、高杉」
「昔の理御と?」
「うーん…まあちょっとだけね」
むくりと起き上がり、俯いた。
世界を恨んでいた事。
今だ世界を恨み、壊そうとする高杉と、世界を恨むのをやめ、護ろうとするあたし。
今は全く反対だけど。
「ったく…少し目を離すとコレだからよ。いいか、知らない奴にむやみやたらに話しかけんな。確かに理御は強えが、女なんだからな。特に高杉にはもう近づくなよ。分かったかコラ」
ゴン、と頭を小突かれる。そんなに痛くないが、頭をさする。
「はいはい。もー、トシはお母さんみたいね」
「誰がてめーのお母さんだ」
不機嫌そうにあたしを睨む。
「お父さんは近藤さん。総悟は弟って感じかなあ。生意気な。ミツバさんはお姉ちゃんだわ、間違いなく」
「総悟が息子はやめろ。いつも母親の殺人未遂してるとか、どんだけ反抗期なんだよ。反抗期っていうより犯行期だろーが」
「あはは!たくましい一家だね」
想像するだけでカオスな一家だ。
…ところで。ずっと仕事してたから、喉が乾いた。お茶でも飲んでこようかな。
「お茶飲んで来るわ」
「あ、俺も行く。一服してェし」
立ち上がったトシに続き、すっくと立ち上がる、と。
びきんと足に衝撃が。
「〜っ!!」
そういえば足しびれてたんだったァァァ!!足が麻痺してふらりと倒れる。
「おわっ」
どてんっ。
いったァァァ!頭打ったァァァ!
「いったたたた…」
涙目になりながら目を開けると、すぐ近くにトシの顔があった。そばにいたトシもろとも倒れこんでしまったらしい。あたしの両側に手をつき、あたしを下に敷いている状態。ぱちくりと何度か瞬きを繰り返した。
「ご、ごめんトシ。巻き込んじゃったのよね、怪我ないよね?」
「……お前、この状況でんなこと言うか?フツー」
「は?何がよ。ってか、早くどいてよ。動けないんだけど」
今だに顔は近い。あ、トシ、煙草の匂いがする。………なんか、いい匂い……
その時。
ドオオオン!!
「うごべあっ!!!」
「ぎゃぁぁああ!!」
ふすまが開け放たれ、トシがぶっ飛んだ。衝撃で、書類がひらひらと散らばった。バズーカで誰かがトシめがけて撃ったようだ。こんなことするのは…
「総悟っ!!」
「なんで理御を襲ってんですかィ土方さんよォ。理御、大丈夫かィ?」
「副長室でバズーカぶっ放す総悟の頭が大丈夫じゃないわ」
「心配いらねェ、ちゃんと小型のバズーカでさァ」
「そういう問題じゃなィィィ!」
ガチャン、とバズーカを肩にかつぐ総悟が不機嫌そうに見下ろして来る。あたしはむくりと起き上がり、のびてるトシを見た。
「トシ、生きてる?」
「てか死ね土方」
「…っなにしやがる総悟ォ!!」
「土方さんこそなにしやがってたんですかィ」
「あ、あれは事故でだな…!」
飛び起きたトシは急にしどろもどろになって言い訳しだした。
「言っちゃお、言っちゃお。おーいみんなァ、土方さんが理御を襲ってたぞォオオ」
「おい待てェェェ!!」
大声で叫ぶものだから、きっと全隊士に聞こえているだろう。すると、ドタドタと足音が聞こえて、近藤さんがスライディングしてきた。
「なんだとトシィィィ!!」
「ちげェェェ!!」
「近藤さん、どうやら土方さんからも理御の貞操を守らないといけねェみてェでさァ」
「いくらトシでも理御ちゃんは…!!いや、トシならば…」
悲しそうな顔でうんうんとうなる近藤さんと、また言い合うトシと総悟。
「………お茶飲んでこよ」
呆れたため息をつきながら、スタスタとその場を後にしたのだった。
そんなつもりはなかった
(じゃあどんなつもりだったんでさァ)
(事故だったんだよ!!)
(見苦しいぞトシ…!)
(近藤さんまで!)