仮装パーティへようこそ

エルヴィンさんの執務室から逃げるように出る。すると、不思議そうに私を見つめる二人の女の子と目があった。
一人は女神のように美しく可愛いお人形さんのような女の子、もう一人は女の子にしては高い身長と鋭い視線のそばかすの女の子。どちらもとても可愛い。


「こんにちは。いや、こんばんはかな?トリックオアトリート!」


かわいい子たちだなあ、と思いながらにっこりと言うと、そばかすの女の子がこそこそと耳打ちした。


「おい、クリスタ。こいつアタマ可笑しい奴だぜ、放っといて行こう」

「ちょ、ちょっとユミル!この人はこの前食堂で紹介があった魔女だよ…!それに今日はハロウィンだから…。アタマ可笑しいんじゃないよ」

「聞こえてますが?」


ゴホンと咳を一つする。全く失礼な奴らだ。可愛い子の方はともかく、そばかすの子は悪戯確定かなっ。


「クリスタにユミル、っていうの?私は魔女のセシリア。お菓子をくれないと悪戯しちゃうよ」

「良い年して恥ずかしくねえの?」


呆れたように言われて多少なりともショックを受ける。がしかし、そんなことではへこたれない。私は魔女だからハロウィンくらいいいのだ。


「…魔女にそんなこと言うとこうよ」


杖を向けると、ユミルの頭からぴょこんと猫の耳が生えた。お尻からは尻尾も。かわいいな!


「んなっ…なんだこりゃぁあ!」

「うん上出来!それ明日にはとれるけど、今日一日はそれだからね。魔女にあんな口叩いたことを後悔するのね」

「ユミル!」


ユミルは耳を引っ張ってとろうとするが、取れるわけがない。そこらのカチューシャか何かではないのだから。神経が通っているので、自分が痛いだけだ。


「っざけんな魔女!!やるならクリスタもやれ!!」

「そういう問題!?」

「…わ…私もやる…!ユミル一人なんてかわいそう…!」


私にもしてください!と顔を真っ赤にしながら涙目で私を見るクリスタ。なにこの子女神!!優しすぎる!!こんなに恥ずかしそうなのに友達のためにやるなんて…と感激した私は、すぐさま杖を振った。
ぴょこんと生えた猫耳と尻尾。そんな姿で恥ずかしそうに俯くクリスタはもうそれは可愛かった。くらりと眩暈がして目を抑える。


「大変だ…女神がいる…破壊力やばい結婚したい」


魔法って素晴らしいと思いながら壁に手をつき息を整えていると、ユミルがクリスタの耳をくすぐる。


「クリスタ、似合ってるぜ」

「も、もうっ…ユミルったら…」


ニヤニヤしながらクリスタの頭を撫でるユミル。そのユミルにも猫耳尻尾ついてるのだが。


「良い仕事したな魔女さんよ」

「私もそう思っていたところよ」


良い笑顔でグッと親指をたてあう私とユミル。そして満足そうにクリスタの耳をくすぐる。いやだからあんたにもついてるからね?絶対忘れてるでしょ。
二人はカップルかとツッコミしたくなるほど仲良く去って行った。

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