見習い魔女の大失敗

 
私の夢は、立派な偉大なる魔女になることだ。


「スイミー合格!次!セシリア!」

「はい!セシリア、いきます!」


魔女になってまだまだ駆け出し、見習い魔女の私、セシリア。今日も今日とて、立派な魔女になるために、懸命に修行中。
今は、瞬間移動の魔法を訓練している最中だ。私愛用の、装飾が施された杖を手に持ち、魔力を高める。
杖にまたがって空を飛べるのは便利だけど、それより早く移動出来る術を身につけることはとても重要なのだ。瞬間移動をこなせるようになりたい。
高めた魔力を収縮し、一気に放出する…よし、いける!
ブウンと魔方陣が展開する。


「テレポートっ!」


ふわ、と体が浮く感覚。よし、上手くいったかな?と、思ったその瞬間。


「わ…あれ?うわっ!」


バチバチッと火花が散り、体がブレる。
失敗…!?嫌な予感を感じてばっと教授を見ると、教授はぽかんと立ち尽くしていた。ちょっと教授ー!?なにしてんの助けてよ!!そう言う暇もなく、突然体が一気に浮遊感を感じた。浮遊感、という感じではない。もっとひどい感覚。宙に引っ張られているような、吸い込まれるような、そんな感覚。悲鳴しか出せなかった。


「き…っ、キャァアアアアッ!!」

「「セシリア!!」」


次の瞬間その場に残っていたのは、魔方陣の跡、光の粒子だけだった。





「…っ!!」


体が地面に落ちた衝撃で意識を取り戻した。そう高いところから落ちなかったのか、体は痛くない。魔法の暴走の余韻で体がビリビリとしびれている程度だ。


「いった…た、た?」


私、どうなったんだっけ。そういえば、瞬間移動の魔法に失敗して、それで…?
上半身を起こすと、目の前には。
大きな大きな、見たことのない、ニンゲンの形をした魔物がいた。


  




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