特別課外授業

 
言っていたとおり、リヴァイさんが監督になってくれるというので、お言葉に甘えて修行を見てもらう。巨人の駆逐のやり方だとか、私の魔法をどう使うかだとかを教えてくれるらしい。


「じゃあさっそく行くぞ。口で説明するよりやった方が速いからな。よく見てろ」

「わかった」


リヴァイさんはそう言うと、木にアンカーを刺し、ガスを吹かせてびゅんと飛んで行く。魔女の視力はニンゲンよりも良い。その魔女の視力を持ってしても目で追うのが大変なくらい、速い。そして巨人のかわりだという模型のところまで行き、ブレードを構え、うなじをズバンと切る。否、削ぐ。そして私の元へ帰って来た。


「分かったか?巨人はうなじが弱点だ。俺たちは今のようにして巨人を駆逐してる」


息一つ乱していないリヴァイさんはブレードをしまいながらそう言った。
今の感想?
決まっているだろ、一言だ。


「かっこいいいいい!!」


瞳を輝かせて身を乗り出す。リヴァイさんは驚いてザッと後ずさりする。それくらい私のテンションは高かった。


「リヴァイさんかっこいい!ニンゲンなのにあんなこと出来るの!?」


思わずリヴァイさんの手を握ってぶんぶん振る。このごろのニンゲンは進化してる!いいなあ、私もやってみたい!


「…手を離せ」

「あ、うん!」


言われて、パッと離す。眉根を寄せていて、手を握られるの嫌だったかな、と思った。
次は私が実際にやる番だ。しかし、私は杖にまたがるため、両手を使えない。使えてもせいぜい片手だけだ。それに、練習したってあんな削ぎ落とすことが出来る気がしない。私はどうやって倒せばいいのだろう。


「この前やった火の攻撃でいい。うなじを的確に狙って、出来るだけ強い砲撃をしろ。あいつらは回復出来るから、中途半端だと駄目だ」


リヴァイさんが模型を指差しながらそう言う。なるほど、炎弾ね。うなじを削ぐことが出来るならなんでもいいわけか。


「了解、やってみる!」


さっそく杖にまたがりびゅんと飛ぶ。うなじうなじ…!リヴァイさんほどまではいかないが、かなりのスピードで一気に近づき、思いきり叫ぶ。


「炎弾!!」


ぺそっ。
変な音がして、出て来たのは火の粉だった。
しょぼっ!!
リヴァイさんの方を見ると、ゴミでも見るかのような目で見て来た。今すぐ謝りたい。


「もう一回…!」


大きく回って、もう一度。


「炎弾っ!!」


すると、ドゴォン、と爆発したかのように強力な炎が砲撃され、模型はうなじごとあっという間に燃え上がった。
それをぽかんと見ながら考える。私の魔法はなぜか安定しない。威力が大きいときもあれば失敗に終わるときもある。うまくコントロール出来ない。なんでだろう、と思いながら、木に降り立ち、杖をかざして模型を元の傷つく前に戻した。リサイクル大事。


「うーん、リヴァイさんみたいに削ぐのは出来ないのかなあ…」


もし失敗したときのことを考えると、少し怖い。的確にうなじを削ぐ方法はないものか。悶々と考えることしばらくして、良いことを思いついた。


「風…」


そう、風。風をブレードに見たてて斬りつければ…!
うまく行くかは分からないが、やってみる価値はある。杖にまたがり、木から飛び立つ。狙うはうなじ、今度はいける!


「風よ!!」


うなじにすれ違いざま、片手で杖を支えて片手を横に出し、手で斬る感じで振り抜く。魔法の風を手にまとい、振り抜いた時には、イメージした通りにばっくりとうなじが斬れていた。


「…!!」


急いでリヴァイさんのところへ行く。リヴァイさんは腕をくんでそれを見ていた。


「リヴァイさん!!見た今の!?削げたよ!!」

「ああ。だがあんなもんじゃ実際には使えねェ」


そうですよね、としゅんとする。リヴァイさんは鬼のように指摘をする。


「もっと深く抉れ。まだ浅い。飛ぶときももっと速くだ。食われるぞ」

「わ、わかった。とりあえず休憩」


疲れを少しでも取ろうとその場に座り込むと、リヴァイさんに蹴られた。


「何言ってやがる、休憩?まだ始めたばかりだろうが」

「ちょっとくらいいいでしょ。疲れた」


口をとがらせ文句を言うと、ぐいっと腕を引っ張られ、無理矢理立ち上がらせた。


「立て、これからだ。とりあえず最初に、その皆無な体力をどうにかしろ。10キロおもりつけてここ10周飛べ」


さあっと血の気が引いて行く。鬼畜!!鬼!!悪魔!!
しかし文句の一つでも言えば躾と言う名の暴力が私を襲うに違いない。リヴァイさんの蹴り痛いから嫌だ。仕方なく、若干涙目で頷いた。


  




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