華麗なる救出

 
「セシリア!」


しかし、痛みは来ず、どさっと誰かに抱きとめられた感覚。
至近距離からリヴァイさんの声が聞こえて、びっくりして目をかっ開くと、目の前にリヴァイさんの顔があった。


「ふぇ!?」

「何間抜けな声出してやがる…危ねえだろうが、落ちるなら前持ってそう言え!」

「それは無理!」

「間に合ってなかったら、痛いどころじゃ済まなかったぞ」

「…うん」


どうやらリヴァイさんに助けてもらったようだ。よかった、しかしこの格好は恥ずかしい。いわゆるお姫様抱っこのこの状態、誰か見てたらどうするのだ。いや、ハンジさんが見てる。


「怪我ねえな」

「あ、うん」


よし、降りるぞ、と言われて気がついた。リヴァイさん空飛んでた。……ファッ!?
今更ながらリヴァイさんにしがみつく。杖なし上空怖い!


「おい…動きにくい、くっつきすぎだ…」

「空飛べたのリヴァイさん!?」

「立体起動だ…この機械で飛ぶように移動している」

「りったいきどう…」


リヴァイさんの腰には見慣れない装置がついていた。そういえば、最初に見たニンゲン達もみんな同じものをつけていた。時折ガスが出ている。そしてワイヤーが木に伸びていた。
ゆっくりと降り立ったリヴァイさん。


「ありがとう、リヴァイさん」


眉を下げて笑う。面目ないです。
ところで、リヴァイさんから早く降りたいんだけど。リヴァイさんはなかなか降ろそうとしない。おずおずと見上げる。


「あの…リヴァイさん?」

「…軽い」

「は?」


いきなり何を言い出すのかこの人は。


「もっとちゃんと食え。魔女はこんなもんなのか?」

「余計なお世話よ!重いと飛べないし、魔女なら体重はこんなもんなの!」


降ろして!と暴れる。暴れれば暴れるほどしっかりと抱かれるんだけどどういうことなの!さらに杖が手元になく、落としてしまったのだと気づいておろおろしていると、落としたんなら折れてるんじゃねェのか、というリヴァイさんの発言にもう泣きそうだ。
そこに杖を持ったハンジさんが歩いて来た。


「ねえねえ私のこと忘れてるよねえ?何してんのリヴァイ。そろそろ降ろせば?」

「は、ハンジさん!」


ニヤニヤしたハンジさんに言われて、舌打ちをしてやっと降ろされる。
ハンジさんが杖を拾ってくれたらしく、渡してくれた。折れていないしヒビもない。丈夫な杖でよかった。


「いやあ、すっごいねセシリア!興奮したよー!こりゃ、活躍が期待出来るんじゃないかい!?」

「でも、巨人と魔獣じゃ全然違うから。もっと強くならないと」

「だが、さっきみてェに落ちたら一瞬で食われるぞ」

「わかってるわよ。もう落ちないから!」


褒められて嬉しくなっていたところをガツンとやられてむくれると、リヴァイさんはフッと笑った。


「そうむくれるな。励め」


り、リヴァイさんが笑った…!ニヤリとかじゃなく、普通に笑った!思わず凝視していると何見てやがる、と頭をはたかれた。
普通に笑えばかっこいいのになあ。もっと見たい、なんて思った。


  




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