未知なる戦力

 
今日は、ハンジさんのサポートのもと、魔法の練習をすることになっている。いわゆる修行だ。


「で、なんでリヴァイさんがついて来てるの?」

「悪いか?」

「悪くないけど、ただ、お仕事はいいのかなーって」

「問題ねェ。本当にてめェが使える奴なのか見極める必要があるしな」


リヴァイさんに見られるの緊張するから嫌なんだけどなあ、と思いながら外へ歩いて行く。私の魔法の修行に使っていいと指定されたところに行くと、ハンジさんが立っていた。


「あ、来た来た!セシリアー!なんだ、リヴァイも一緒なの?」

「お手並み拝見といくか」

「あんまり期待しないでー」


苦笑いしながら、真ん中らへんに立つ。魔法を使うのに不自由ない範囲はちゃんととってある。この範囲の中でしか魔法の修行の許可は降りていないらしい。
さて、まずは何をしたらいいだろうか。
距離をとった所にいるハンジさんを見ると、感じ取ったのだろう、ぶんぶんと手を振った。


「私たちのことは気にしないでいいよ!いつもやってる"修行"をやってよ」


そう言われて、こくりと頷く。リヴァイさんは木に寄りかかってこちらを見ている。コーチみたいだ。

じゃあ、始めるか。
ガリガリと杖で簡単な魔方陣を書く。書きあがった魔方陣の前に立ち、目を閉じて想像を膨らませる。頭の中でイメージ出来たら、ぱっと目を開けた。


「魔獣召喚!」


すると魔方陣が光に包まれ、光の粒子が虎のような姿をかたどった。


「あ!?え、は!?なにあれ、すげえ!!」

「なんだありゃ…」


驚くハンジさんとリヴァイさんの声を聞きながら、魔物の虎を相手に戦闘を開始するため、命令する。


「私を敵と認識し、攻撃を開始せよ!」


私が召喚した魔物は私の下僕だ。こうしないと、訓練相手にならない。命令したとたん、ウグルルル、と唸って威嚇する。
こうなればもう倒すのみ。戦闘開始だ。私は合図のかわりに杖を一振りする。


「炎弾!」


大砲のような音がして、炎の球体のようなものが魔獣にぶち当たる。燃え盛る炎に包まれたかと思ったら、魔獣はそのまま突進して来た。えええ燃えてるんですけど!慌てて火を消すため、杖に力を込める。


「水弾!」


ドウン、と水の大砲が魔獣を迎え撃つ。魔獣が押し返され、炎は水で消えた。
自分で召喚した魔獣とはいえ、怖いものは怖い。それにわりと強めの魔獣を出したのだから、本気でいかないとやられる。そして、この戦闘を通して、全ての魔法がこの世界でも使えるのかを確かめないといけない。
キッと魔獣を見据える。


「射撃っ!」


杖を銃のように持って魔獣に向けると、杖先から銃弾が放たれた。


ダァン!

「グルルァ!」


すると、それを器用に避けた魔獣は私に向かって炎を吹いた。腕にカスって、とっさに杖にまたがり飛び上がる。


「うああああっぶな!!凶暴だなあもう…!!」


早くも自分で召喚したということを忘れていた。
そのまま上空を旋回しながら、魔獣に向かって指を差した。


「眠れ!」


魔獣はぐらりと揺れて、倒れる。しかし、眠らせただけだ。いつ起きるか分からない。今のうちに大技を!


「氷欠泉!」


指を差して叫ぶと、魔獣が横たわる地面から、ドスドスッと氷柱が現れる。魔獣は貫かれ、声もなく消え散った。


「やった!」


しかし、倒した嬉しさで力が抜けたその拍子に、がくんと杖が傾く。


「あ、あれ?ちょっ!浮け!飛べ!きゃ…っ」


集中出来ていないからか、なかなか魔法がうまくいかない。体制を整えることが出来ずに落ちていく。あ、やばい、地面に頭からコンニチハしちゃう!!ここまでうまくいってたのに、また失敗!?
痛みを覚悟してぎゅっと目をつぶった。


  




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