ひくり、と顔がひきつる。それというのも、目の前に海軍大将青キジが立ちはだかっているからで。
この状況は、うーん、どうしたらいいのかな。


「あらら、こりゃまたタイヘン。出くわしちゃったねーおなまえちゃん」

「こ…こりゃまたタイヘン。ごきげんよう青キジさん」

「あんたがここにいるっつーことは、麦わらの一味がここにいるっつーわけかい」

「いや、いないわよ。私だけここに来たの、どうしても寄り道したくなって。私を置いて行ったわ、だから探しても無駄よ」

「んなわけねーだろ、あの一味が仲間おいてくなんてことするわけないからな」


…よくわかってらっしゃる。いとも簡単に私の嘘を見抜いてしまった。
青キジは、ボリボリと頭をかいた。いつものことだが眠そうだ。いつもの海軍大将のマントを羽織っておらず、私服なところを見ると、休暇なのだろうか。うーんと少し悩んでから、ダルそうに言った。


「まあいいや、今日はオフなんでね。見逃してやるよ」

「それは嬉しい…けど」


それでいいのか大将よ。まあ、なんにせよホッとした。


「じゃあ、そういうことで」

「まァ待てよ」


去ろうとしたら腕を掴まれた。何よ、と見上げる。


「買いモンか?」

「…まあ、そんなとこ」

「付き合う」

「はい?」


言うなり、懐からサングラスを取り出してチャッとかける。…変装のつもりなのだろうか。まあ、私服だし、バレないかもしれないけど…目立ちすぎるんだよその身長が。


「これでオッケー」

「どこがだ」

「デートと行こうか、おなまえちゃんよ」

「…」


こうなったら意地でもついて来るだろう。


私の記憶が正しければ、確か私たちは敵同士じゃなかったっけ?

「まァそんな固ェこと言わずによ」


大きくため息をついて、あっち、と道を指差した。


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