「ひっじかったさーんっ!」
やたらテンションの高い声が朝っぱらから屯所に響く。同時に山崎の声もした。
「また来たの君!今副長は忙しいからっ」
「大丈夫大丈夫!」
「君が決めることじゃなくね!?」
今日も来たか。どうせ、止めたって無駄だ。はあとため息をつきながらふすまを開けて、門へ歩き出した。
「おいおなまえ」
俺の姿を見つけるなり、ぱあっと顔を輝かせて手をぶんぶんと降って来る。
「土方さーんっ!おはようございますっ!」
「朝っぱらからうるせーんだよ。来るなとは言わねーがちったァ静かに登場しやがれ」
「来ていいのね!嬉しい!」
「やっぱ来んな、帰れ」
山崎を突き飛ばして俺の方に寄る。ギロリと睨みをきかせているつもりなのだが、こいつには全く効かないらしい。
「土方さん、今日は何をするの?」
「仕事だ仕事。だから帰れ」
「見廻りご一緒する!」
「やめろ、いますぐ帰れ」
あーだこーだと言い合いをしたのち、強制的に帰らせた。朝から無駄に疲れて、はあとため息をつく。だがまあ、なんでか、あいつの事は嫌いじゃない。あのうるささに助けてもらったこともある。…こんなこと、本人には絶対言わねーが。
*
見廻りに行くため、門を出る。するとそこには、おなまえがにっこりと待ち構えていた。
「ご一緒します!!」
いつから待っていたのか。ひくりとひきつりながら、おなまえを見下ろした。
「…ストーカーかよ」
すると、おなまえは顔を赤らめて目を伏せた。
「ストーカーだなんてそんな…」
「
何故そこで照れる」
照れる要素どこにあったんだよ。ストーカー(決定)を置いて歩き出したのだった。
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