甘党のお客様
「いらっしゃいませーっ」
お決まりのセリフを言ってにっこりとした。
今日から、このファミレスでバイト。やる気十分、気合十分!店長さんは、「変な客ばかりだからあんまり力まないでいい、むしろテキトーに行け」って言っていたけど、初めてのお客様だし、テンションあがる。
カランと乾いたベルの音と共に、入って来たのはふわふわ天パの銀髪のお客様だった。
「アレ、初めて見るコじゃん。新入り?」
「そうですっ。常連様ですか、以後よろしくお願いします!」
「おう。じゃ、イチゴパフェ頼むわ」
「はい!」
何とも可愛らしい似合わないオーダー。厨房に伝えに行った。
*
「どうぞ」
「あー、うまそ」
スンと匂いを嗅ぐお客様。甘いものが好きなのかな。
「ごゆっくりどうぞ」
立ち去ろうとした時。
「ん?…オイオイ、待って待って」
「…?どうかなさいましたか?」
え、何か間違っていたかな。イチゴパフェには間違いないけど…
「コレいつもよりクリーム少なくね?てかトッピングイチゴ一個少ないよね。追加してきて」
…何それ。イヤイヤ、ないわー。若干引いていると、パタパタと先輩のバイトさんが駆けつけた。
「ちょっと銀さん!何回言ったらわかるんですかっ。だから、あなたは糖尿病寸前でしょ!クリーム少なめにしてるんです、わざと!」
「糖分が足りねェの!銀さんには糖分が必要なの!いいから盛って来いよ」
「駄目ですって!もう!」
こんな人もいるんだなあと思いながら、そのやりとりを見ていた。店長の言うとおり、力抜いて行かないと持たなそうだと感じた。
甘党のお客様
(じゃあ、少しだけ。)
(マジでか!太っ腹)
(甘やかしちゃ駄目よ!)
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