天気は、快晴。風もほどよく吹いていて、とても良い一日だ。
島に到着した私達白ひげ海賊団は、四番隊を見張りにしてあとは自由にしてよし、ということになっている。
船から身を乗り出して島を眺める。久しぶりの陸に、わくわくする。


「大きい島…!なにしよっかなぁ」


すると、急に視界が真っ暗になった。


「xxx、デート行こうぜ!」

「!」


それがエースのテンガロンハットだと気づくと、ぱっと外して横を見る。隣に立っていたエースは、少しだけ顔を赤らめてにっと笑っていて。


「い、行くっ!」


テンガロンハットを握りしめてコクコクと大きく頷くと、満足そうに笑ってわしゃわしゃと頭を撫でられた。緩む頬を抑えきれないままエースと船を降りようとすると、不機嫌そうなサッチが声をかけてきた。


「おーい、幸せそうなお二人さんよ。デートか」

「おう!いいだろ!」

「くっそー、おれも見張りさえなけりゃ今頃はキレーなおねーさんと…」

「じゃーなサッチー!」

「ばいばいっサッチ!」

「んだよ無視かよ!いってらっしゃい!」


うだうだと言いながらも、最後はちゃんと送り出してくれた。おみやげ買って行ってあげようかな。まあ、明日は見張りじゃないだろうけど。


島へ降りて、メインストリートをぶらぶらと歩く。お菓子屋さんが見えて、エースと寄ると、お店のおばちゃんがにこにこと愛想良く笑った。


「いらっしゃい!あんたらシュガースティックはいかがかな?ココアとシナモン味があるよ」

「おいしそう!」

「おばちゃん、それひとつずつ!」

「あいよ、まいど!」


私はココア、エースはシナモンを受け取り、まじまじと見る。茶色で、長い"シュガースティック"。初めて食べるそれをじっくり眺めてから、先っぽを食べてみた。


「おいしい!」


例えるなら、ドーナツのような感じ。もう一口かじって、もぐもぐしながらエースを見ると、すでにスティックを食べきっていた。


「あーんまかった!」

「ちょ…エース、食べるの早いよ」

「そうか?そっちのもくれよ」

「え」


スティックをもつ私の手を掴み、豪快に口に入れると、ポキリと半分折って手を離した。ちなみに、私の食べかけ。エースはあっという間に全部飲み込むと、ぺろっと口の端を舐めた。


「ん、こっちもうまいな!」


…今の、間接キスなんだけど、きっと無意識だよね。ドキドキ高鳴る鼓動を押さえつけながら、短くなったスティックを口に入れた。


「…も、もう、エース!こんなに短くなっちゃったじゃん。食べ過ぎー!」

「小さいことは気にすんな!」

「私もエースのやつ食べれば良かった」


ぼやきながら最後の破片を食べきると、エースが私の口を指差した。


「xxx、ついてる」

「ん、どこ?」


ごし、とこするけどなかなかとれない。恥ずかしくて焦ってとろうとしていると、エースの顔が急に近づいた。


「え…!?」


まさかの近すぎる距離にぐっと目をつぶる。口の端に、一瞬、生暖かい感触。目を開けると、エースが満足そうに笑っていた。


「ん、とれた。やっぱうめェ」

「〜っ…」


無意識なのか、確信犯か。とりあえず、私の心臓持ちません。
まだまだデートは始まったばかり。




君とランデブー

(次、どこ行こうか?)
(君とならどこだって)

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