今日はいつもお世話になってる先生に、ちょっとしたプレゼントがあるんだ。
「さあ、準備はおっけー?銀時、晋助、小太郎!」
「おい、本当にやんのかよ」
「俺ァやんねーぞ!」
「やると決めたからにはやるしかないだろう」
「行くよー!」
どこかに逃げようとする晋助の手を掴んで、引っ張りながら先生のもとへ。
「先生っ!」
「おや、なんですか?」
後ろに三人がついて来ているのを確認して、先生を見上げた。
「四人揃って、何事ですか?」
「ちょっと見てて!日頃の感謝の気持ちをこめて、プレゼントがあるの!私達から!」
しかたねえな、とため息混じりに小太郎を肩車する銀時。
「ほらほら早くっ晋助も!」
「〜ッ、あーくそ!」
嫌そうにしながら小太郎に肩車され、私がそれにぴょこんと飛び乗った。四人肩車の完成!先生は不思議そうにそれを眺めている。
「よーし!出来た!」
「おい早くしろォォォ…!潰れるゥゥゥ」
「潰れちゃだめだよ!?では!先生、こっちこっち」
先生を手招きすると、先生が一歩近づく。身長が同じくらいになった先生のほっぺめがけて、えいっと唇をくっつける!
と、思ったんだけど。
「う、わ」
銀時がぐらっと傾いた。すると、必然的に私もぐらつくわけで。的を大きく外して、先生の口に当たった。一瞬だけ。
「……あ、えっと、これは!」
あっというまに真っ赤になってしどろもどろになる。先生はポカンとしている。こんなつもりじゃなかったのに!銀時の馬鹿ァァァ!
「…素敵なプレゼントですね。ありがとう」
なのに、先生はにっこり笑ってくれたから、成功、という事にしておく。
「もう降ろすぞ!いいよな!?」
「あ、うん!」
すたっと飛び降りる。銀時は倒れるように膝をついたから、そうとう重かったんだと思う。
「うまくいったのかよ?」
晋助に聞かれる。そうか、三人は見えてないんだ。
「うん!私のファーストキスを先生にちゃんとあげれたよ!」
その瞬間、三人が固まった。
「「「ファーストキスゥゥゥ!?」」」
見事に声が重なった。急に大声をあげられると、びっくりするじゃないか。
「お前っ、ほっぺって言ってなかったっけ!?」
「そうだけど、銀時のせいで的が狂ってくちになった」
「てめっ、クソ天パァァァ!」
「なんで俺ェェェ!?」
「いけませんそんなふしだらな!いくら先生と言えどもキスなんてェェ!」
「お前は母親か!」
「母親じゃない桂だ!」
ぎゃあぎゃあといつものように騒ぎ出す。先生はくすくすと笑ってそれを眺めていた。
まあでも、ファーストキスが先生で良かった、なんて思ったり。
"はじめて"をあげるね
(はじめてが先生ってなんかいいね!)
(おやおや)
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