恐怖体験
※会話文のみ


ちょっと!聞いてくれ!
昨日、めちゃめちゃ怖い思いをしたんだ……。
あっ!いや、怖くない!怖くないぞ!俺ほどの実力があれば怖いものなんてないからな!
けど、その、あれだ。何の能力も持たない貴様ら一般人からしたら怖いだろうと言う、そういう、あれだ。
ま、まぁとにかく、一般人には怖いであろう出来事があったんだ。
ん?あぁ、そうだぞ。昨日のあれだ。
そうそう、隼人も一緒だった。
とにかく話そう。
俺と隼人は昨日の夜ちょっと買い物に出かけたんだ。
え?いや、だってぱち課題やるって言ってただろ。一緒に行きたかったけど邪魔しちゃダメかと思って。
それでその買い物が長引いてしまってな。
いつもなら大通りを通って帰るんだが、時間が遅いこともあって裏道を通って帰ろうってなったんだ。
そうそう。あのお墓の横通る道。
あそこって明かりも何もないだろ?
真っ暗でほぼ何も見えなくてな。
まぁ、俺は怖くなんてないからな!
隼人を先導して歩いてたんだが、その途中、突然肩を叩かれたんだ。
「なんだ?」って聞いてみても隼人は「なにが?」って言うんだ。
「俺は何もしてないぜ?」って。
おかしな話だろ?
でも俺の勘違いだと思って、そのまま気にせず歩いてたんだが、今度は尻を撫でられたんだ。
何事かと後ろを振り向いたんだが、隼人は「どうかした?」と首をかしげていてな。
……ちょっと怖いだろ。
その間もずっと撫でられてはいたんだが、ほら、隼人を怖がらせるのは得策ではないからな。
それで、裏道を抜けたらその撫でていた手は消えたんだ。
やはり幽霊というのは厄介だな。
これで隼人がいなかったら返り討ちにしていたのだが、俺の力を一般人に見せるわけにもいかないから。
お前らも、あそこを通るときには気をつけろ。
今回は隼人は無事だったようだが、次回はわからないからな。
しかしそれにしても尻なんか撫でて何がしたかったのか……。
えっ!?ふ、震えてないかないぞ!?これは、あ、あれだ!怒り故の震えというやつだ!
……そういえばあの時隼人の腕が不自然に動いていたが、ほんとうに何もされてないか?大丈夫か?


「ん?何もされてはないぜ」
「なら良いんだ」
「良くない!なんだそいつは!許せん!許せんぞ!隼人は何故気がつかなかったのだ!」
「いやぁ、名前くんがそんな目に合ってたとは知らずに呑気してて悪かったよ」
「気にするな!いつでも俺に頼るといいぞ!なんてったって俺は世界を救う…」
「ちょっと聞きたいことあンだけどォ」
「なんだ荒北。なんでも聞くといいぞ!」
「買い物行ったんだよネェ?袋ってどっち持ってたの?」
「一個ずつ持ってたぞ!」
「その不自然に動いてた腕って袋持ってた方の腕ェ?」
「いや、違うな。空いている方の腕だ。暗いし近かったからよくは見えなかったが、動いてたぞ」
「……新開、オメーだろ。ケツ撫でてたの」
「…………まっさかぁ」
「柔らかかったァ?」
「うん、女子のケツ触ってんのかと思った」
「やっぱオメーじゃねぇか!」


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