猫=小宇宙
「ナァニしてんだオメー」
「ん?おぉ!スカルヘッド!」
「おいこら、スカルヘッドってなんだヨ。オレの顔が骸骨みてーって言いてぇの?喧嘩売ってる?」

苛立ちついでにしゃがみこんでいた名字の背中を軽く蹴る。
筋肉がまるでついてない名字はアホみたいな声を出しながら蹴られた衝撃で前に倒れ込んだ。
「軽く蹴っただけなのにナァ」なんて思いながら不服そうに座り直す名字の横に同じようにしゃがみこむ。
名字の視線の先に目をやると猫が二匹、じゃれあっていた。

「アレ、先週まで一匹だったのに」
「さっき来たらいたんだ!可愛いな!」

キラキラと目を輝かせながら猫を見つめる名字に「そーねェ」と返す。
この、いつまで経っても小学生のような反応を見せる名字といるのは退屈しない。まぁ、同時に疲れもするのだが。
しばらくしてから昼飯を食いに来たことを思い出し、手元の袋をガサガサと漁る。
「アレ、ストローどこだ」と取れてしまったストローを探していると名字から「荒北荒北!」と声がかかった。

「ちょっと、オレ今ストロー探してんのォ」
「荒北見ろ!交尾!交尾してる!」
「は!?」

名字から出た単語に袋へと向いていた視線を勢いよく正面に向ける。
そこには確かにまぁ、うん、交尾している猫二匹がいた。
「マジでェ…?」と視線を名字へと移す。
交尾自体は別にどうでもいいのだが、とんでもなくアホでバカな名字(東堂もだが)が交尾を知っていることに驚いた。
名字は先ほどと変わらない、キラキラした目で猫を見つめている。

「名字チャン交尾って単語知ってたんだァ」
「知ってるぞ!」
「……交尾ってなんの為にしてるか知ってるゥ?」

オレの質問にパチパチを目を瞬かせる。
少し顎に手を当てて悩むと、ハッとしたように真面目な顔でこちらに顔を向けた。

「……小宇宙を…作ってる……?」
「……つまり?」
「あの、下になっている猫は実は世界の創生者で体内で宇宙を作ってるんだ。上の猫のあの、なんだろ、あの動きによって銀河を膨らませて、俺たちもまだ知らない小宇宙が、あの猫の体内で生成されてるんじゃ…」
「アーウンソーダネー」
「ほんとか!?」
「ちげーよバァカ」

拳を作って軽く小突く。
「あうっ」とうめいた名字は叩かれた頭をさすりながら「じゃあなんなんだよ…」とぶすくれていた。
こいつマジで中二病なのか電波なのか不思議チャンなのかわかんなくなるな。
たぶんただのアホだろうけど。


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