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***


痴漢事件から数日。

その日の朝、遥は駅のホームで嫌な視線を感じた気がしたが、気のせいだろう。と、気にとめなかった。
電車がホームに到着し、それぞれの車両の入り口に人の波が押し寄せる。
遥もその波に流されるように車内へ押し込まれる。
整髪料や香水、化粧品の匂いに眉を顰めていると、突然後ろからぎゅうぎゅうと強い力で押された。

遥は慌ててバランスを取るが、そのままぐいぐいと押しやられ反対側の扉へ追いやられた。

驚いたが、遥は一先ず寄りかかれる扉側を確保できた事をラッキーだと思った。
電車が出発する。遥はイヤホンを耳に当て、窓の外を眺めた。

何気なく電線に目をやり、「そういえば、最近すずめ見ないな」「今日の日替わり定食は、炊き込みご飯あるかな」など、とりとめのない事を考える。

ふいに、腰の辺りに違和感を感じた。
……?

それは遥の腰から尻に添ってなぞる様にゆっくりと往復する。
この混み具合だ、誰かの鞄がたまたま当たっているのだろうと遥が肩の力を抜いた瞬間。
それはゆっくりと太腿の内側を撫であげた。

「……っ!」

遥はぎくりと体を強張らせる。
その反応を楽しむかように、それは徐々に上へと上がっていく。
ぞっとして思わず股をぎゅっと締める。股の間でもぞもぞと蠢くその感触に、遥はそれが人の手だと気付く。

慌てて後ろを振り向こうと体を捻るが、思うように身動きがとれずもたもたしていると、隣のサラリーマンに舌打ちをされる。

それにたじろいで「すみません」と会釈していると、今度は別の手が前から股間を撫でる。

「ひっ……、」

遥は寸前の所で悲鳴を飲み込んだが、それに気を良くしたのか股間を撫でる手は更に大胆になり、萎んだそこを起こすように揉み始めた。

「ふっ……ぁ、やめてください……。」

思春期の遥の体は、その意思とは関係なく男の手が与える刺激に感じていた。
強制的な快楽に、徐々に反応して上がる息を堪えながら訴える。

「ふ、ふふっ」
「……やっ!?」

生暖かい息を首筋に感じたと思った瞬間、不気味な笑い声と共にべろりと項を舐められた。
湿った感触に、遥はぶるりと鳥肌を立てる。

「ふふ、っふぅ……覚えているか?」
「……っなにを、」

ざらついた舌で首の周りを舐めまわしながら男は言った。

「この間、お前が余計な事を言ってしゃしゃりでて来たせいで、あやうく俺は職を失うところだった……、妻には別居を言い渡されたよ。」

混乱した頭で、遥は数日前の痴漢男の事を思い出した。

「あ、あれは貴方が……っ」
「うるさい、お前には責任を取ってもらうんだよ。お前のおかげであのガキも最後まで食えなかったし、その上妻にも逃げられた。」

遥の反論を許さず耳元でそう囁くと、男は股間を弄んで居た手でベルトのバックルを空け、ジッパーをさげてスラックスの中に手を潜り込ませた。
下着の上から痛いくらいの強さで擦られる。

「……いっ、痛っ!」
「その割りに濡れてきてるじゃねぇか。」

男の指が下着の上から亀頭をぐりぐりと弄る。

「……っぁ、……う、」

かすかな水音が、ガタンゴトンという電車の音と混じって聞こえてくるような気がして、遥は羞恥で首筋を赤く染めた。

与えられる刺激にびくびくと反応する遥を見て、男はほくそ笑み、もう一方の手を遥のYシャツの中へ忍ばせ、若い肌を撫で回した。
じっとりと汗ばんだ手に、遥はぞっとして抵抗を見せる。
男は窘めるように乳首を抓ると、びくりと身を強張らせた遥の耳元で脅すように囁く。

「大人しくしろ、周りにばれてもいいのか……?」
「……っ!」

遥が大人しくなったのを見て、男は動きを再開した。
一方の手で乳首をぐりぐりと抓り、もう一方の手で竿をやわやわと扱かれ、親指で亀頭を指でぐりぐりと転がされる。
こんな手に感じたくない。という気持ちとは裏腹に、遥の体は性急に絶頂へと導かれていった。

「……ふ、……ぁっ……」
「いいのか……?こんな所で出したら、匂いで勘付かれるかもなぁ。少なくとも隣の奴には……」

そう言いながら男は遥を弄ぶ手をやめない。
遥は首を振って、必死にスラックスの上から男の手を上から押さえつけるが逆効果で、その刺激にイきそうになる。

「……やっ、いや……ぁ。」
「出したいか?じゃあ次の駅まで我慢しろ。」

必死に頷く遥を見て、男は下品に笑った。



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