10


昨日と打って変わって、男の指はゆっくりと優しく、まさしく愛撫するように挿入を繰り返す。
遥の穴が男の指に馴染んできた頃を見計らって指を追加した。

「……あっ、んっ……ふぅ、んん」

赤く手形のついた遥の尻をねっとりとなで回しながら、更に一本追加していく。
遥は男の思わぬ優しい手つきに動揺していた。
そして、その手に確かに快感を感じている自分が信じられなかった。
塗り込まれた軟膏が、熱を持ってじわじわと快楽を増加させる。

「んふ、……むぅ、あっ……んあぁっ!」

悶々として、どうにか快感を打ち消そうと目を瞑った時、男の指が遥の前立腺をかすめた。
びくんと跳ね上がり、喉を反らす。
男はぐりぐりと、見つけた前立腺を押しつぶし、遥を快楽の底へ引きずり込む。

「ひぁっ……あっ、あぁっ!……やっ、んあっ、あっ!」

遥は成すすべもなく、びくびくと痙攣しながら男の性器に顔を擦りつけるように埋めて、快感に悶える。
そんな遥の痴態に、男は興奮で鼻息を荒くさせながら体を起こすと、位置を逆転させて遥の上に跨った。
中途半端に行為を中断され、遥は潤んだ瞳で男を不思議そうに見つめる。
熱っぽい息を吐く遥の口に、男は己の肉棒を捻じ込み腰を振る。

「んぐっ、んんぅー!」
「……はぁっ!……っはぁ!」

遥のくぐもった呻き声に、男の興奮は高まる。
めちゃくちゃに腰を振りたくり、遥の尻の穴に指を入れ前立腺を擦りながら、目の前でぷるぷる震え蜜を溢れさせる性器にしゃぶりついた。
じゅるりと音をたてて蜜を吸いあげ、裏筋を舐め回し、鈴口に舌先をぐりぐりとねじ込む。

苦しい。痛い。苦い。気持ちいい。
ともすれば拷問とも言える快感の責め苦に、遥は狂ってしまいそうだった。

「んぁ、んぐぅっ!……かふっ」
「うんん、……っはぁ!……ふっ、ぎあっ!?」
「っけほ、……うぇっ、ごめんなさ……けほっ」

男の責め苦に、遥は耐え切れず咽た際に男の肉棒に軽く歯を立ててしまった。
興奮状態のそれを噛まれて、男は暫く蹲っていたが、やがて治まったのかぎっと遥を睨み付け、苛立たしげに白い頬を打った。

「……っ!ごめんなさい……」
「……っはぁ、くそっ!」

また乱暴をされるのでは。と、打たれた頬を押さえる事もせず、怯えた瞳で男を見つめ、ただ謝る遥の腰を掴み四つんばいにさせる。
男が覆いかぶさり、荒い息が首筋にかかる。
その体勢に、昨日の陵辱がフラッシュバックする。

あぁ、結局こうなるのか。
熱く滑った感触を太腿に感じた時、遥は諦めたように目を閉じた。

「おい、足もっと閉じろ!」
「……っ!痛いですよ……一々たたかないでください……。」

そう言って男は、目を瞑ってじっと堪えるように縮こまる遥の尻を叩いた。
昨日から何度も強い力で叩かれ続け、じくじくと熱を持った尻の痛みを涙目で訴えるが「あ?碌なおしゃぶりもできねぇでぐだぐだうるせえんだよ。」と睨みつけられる。

怒りと興奮に血走った目で睨みつけられ、遥は恐々と膝を閉じる。
「……こうですか?」と男の機嫌を伺うように尋ねた瞬間、ぬるりとした熱く弾力を持った塊が遥の閉じられた太腿の間に無理矢理滑り込んできた。

「……んっ、」
「おら、もっと腿締めろ。」

遥は、自分の腿の間をぬるぬると行ったり来たりを繰り返す肉棒に、なんとも言えぬ微妙な気持ちになった。
けれど、これ以上叩かれるのは嫌だったし、何よりせっかく挿入を間逃れたのに男の機嫌を損ねる事はしたくなかった。
遥は大人しく男の要求に従って腿に力を込めて緩く腰を振った。

「っふ、……はぁっ、いいぞ、やれば出来るじゃねぇか。」
「……っ、……ぁっ、んあっ……や、」

ようやく積極的になって来た遥に、男は機嫌を良くして遥の下腹部に手を伸ばし、動きに合わせてぷるぷると震える性器を扱いた。

太腿の間を肉棒が出入りする度に、玉袋が擦られる。
激しい動きにシートがぎしぎしと鳴る。
二人の息遣いもあいまって、遥はまるで本当にセックスをしているような気分になる。

「……んっ、んぅっ……っくぅ、」

どちらのものか分からない我慢汁がぽたぽたとシートに落ちる。
男の指が鈴口をぐりぐりと抉る。
弱い部分を弄られて。ぴりぴりとした痛みと快感に遥の背中がびくびくと震え、それに合わせて内腿も痙攣する。

びくびくと肩甲骨が波打つ白い背中をべろりと舐め上げる。
その時、男の携帯がヴヴ……と震えた。
男は舌打ちして携帯の電源を切ると、腰の動きを速めた。

「……ふっ、……おっ!おぉっ……!」
「んっ、……ひぁっ、あぁっ、んくっ……ひあぅっ!?」

遥が男の手の中に出すと、男は遥の腿から肉棒を素早く抜き、ぐちゅりと勢いよく遥の穴へ突っ込んだ。
挿入した直後、男もとぷとぷと遥の中に吐き出した。
イった直後の挿入に、「ぁっ……あっ……」と掠れた喘ぎ声を漏らしながら、びくびくと痙攣して精液を弱弱しく吐き出す遥に、男の肉棒は見る見るうちに硬さを取り戻す。

男は挿入したまま遥を仰向けに転がし、正常位に固定すると動きを再開した。

今日は見逃してくれるって言ったのに。
遥の不満は、男の激しい挿入に喘ぎ声と変わり、男の興奮を煽るだけだった。


back / novel / next

「#お仕置き」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -