9 「しゃぶれ。」 ちゃぷん。と小さな水音をたて、銀色の糸を引きながら指を引き抜くと男は命令した。 顔を青褪めさせる遥をよそに、男はズボンのチャックを下げシートに凭れる。 「……ぁ、あのっ、手じゃ……、」 「はぁ?舐めてるのか。さっさとしろ俺だって忙しいんだ。」 だったら放っておいてくれ、と唇を噛んで睨みつける。 男の額に青筋がたつ。 「なんだその目は、自分の立場わかってんのか?さっさとしやがれ。」 「……いっ!」 遥の前髪を鷲掴み、髪を毟る勢いで自分の股間へ引き倒した。 あまりの痛さに、髪の毛が全部抜けてしまったんじゃないかと心配しながら目をうっすらと開いた遥の目前に男の半勃ち状態のそれがあった。 「……やっ!」 「おい、昨日のやつネットにばらすぞ。プリントアウトしてお前の学校にバラ撒いてやってもいいんだぞ?」 赤黒く不気味な性器を目にして、おぞましさに首を振って逃れようとする遥に男は意地悪く言う。 顔はニヤついていたが、男はいつまでも抵抗する遥に苛立っていた。 このさい、慣らさずに突っ込んでやろうか。などと不穏な事を考え、座席のシートのポケットに入れてあるスプレー缶に目をつけたとき、男の下半身に痺れるような快感が走った。 「……うっ……!?」 見ると、遥の舌が男の肉棒を懸命に舐めていた。 「ちっ!しゃぶる気があるならさっさとしろよな、のろま!」 自分より一回りは年下の高校生相手に、不意打ちとは言え焦ってしまった事を恥じ、男はそれを隠すために怒鳴りつける。 一方遥の方は、驚かせるつもりなどなく(むしろ男が驚いた事すら気付いていない)脅されて仕方なくやった事なのに怒鳴られては、訳が分からずきょとんと首を傾げる。 「ちんたらするな!」 その様子に、男は更に羞恥を覚え、遥の後頭部を押さえつけて無理矢理、性器を銜え込ませた。 「……ぐっ……んんっ!んぶぅ……!」 「おら、ちゃんと舌使えよ。噛んだら殴るからな。」 突然喉の奥まで銜え込まされ、呼吸もままならず手足をばたつかせる遥に構わず、男は遥の頭を掴んで激しく腰を振る。 遥は歯を立てないように必死に口を大きく開けているだけで精一杯だった。 「ん゙っ、んぐ、……かふっ……けほ、けほっ」 「このくらい深く銜え込めよ。分かったか?分かるまでやるからな。」 ようやく解放した男は、顔を真っ赤にして咳き込む遥の額に張りつく髪を掻きあげながら満足気に言う。 乱れた息を整えながら、遥は夢中で首を縦に振った。 もう、こんなに苦しいのは嫌だった。 稚ない遥の舌使いにじれったさを感じたが、柔らかく暖かい口内に包まれる感触と、自分に屈服して嫌悪感に眉をしかめながら下腹部に顔を埋める遥を見ると、なんともいえぬ興奮と満足感を覚えた。 自分の体にをねっとり絡みつく、色欲に塗れた眼差しを感じながら、遥はすっかり完勃ちした男の肉棒を銜えることに専念した。 男性器特有の生臭さや、先っぽから出てくる汁の苦味を無視して舌を動かす。 舌先で裏筋を舐めたり、鈴口を吸い上げたり。たまに思い出したように喉まで銜え込んで擦りつけたり。 奥まで加えろと怒鳴りはしたが、男は遥の好きなようにさせていた。 が、若干手持ち無沙汰を感じていた。 「おい、下脱いでケツをこっちに向けろ。」 「……っん、……ぷぁ!」 男は唐突に遥の尻を叩いて、無理矢理顔を上げさせた。 突然叩かれてびっくりするらや傷口に響いて痛いやらで、目を白黒させる遥の尻をまた叩く。 「いたっ!何なんですか?」 「尻向けろって言ってんだよ、一々とろくせぇガキだな。」 あまりに横暴な男の態度に、耐えかねた遥が非難の眼差しを向けるのもお構いなし。 自分の鞄をごそごそ漁りながら「早くしろ」と顎で指図する。 遥は文句を言いたいのを堪えて、渋々ズボンと下着を脱いだ。 身に纏っていた物がなくなり、すーすーと心もとない下半身をYシャツでさりげなく隠すように、正座をして様子を伺う。 男は目当ての物を見つけたのか、鞄のチャックを締めると遥の方へ振りかえり、そのむき出しの下半身を舐めるような視線で見つめた。 「よし、脱いだか。」そう言って男はシートに横になると遥の腰を捕まえ、尻を自分の顔の方にする形で跨らせた。 「……〜〜〜っ、こんな体勢いやだっ!」 「薬塗ってやるって言ってんだろ。お前は黙って銜えてりゃいいんだよ。」 他人に自分の局部を見られる羞恥に、じたばたと暴れる遥の尻を男はもう一度思い切り叩く。 何度も叩かれた尻は赤く腫れ上がり、じぃんと響く鈍い痛みに遥は涙を滲ませたが、男の言葉に耳を疑った。 「薬……?」 思わず肩越しに男を振り返って見る。 男は手に持った小さなチューブから、軟膏らしき物をたっぷりとひねり出して指に取る。 そのまま、唖然とした表情で遥が見つめる中、患部へ塗りつけた。 少しヒヤッとした感触が気持ち良い。 「おい、なにぼさっとしてんだ。」 「……ぁ、すみません、ありがとう……ございます……。」 男の意外な行動に、遥はそれが男に無理矢理強姦されて出来た傷だというのも忘れてお礼を言っていた。 それほどびっくりしたのだ。 「はっ!感謝するなら金玉まで丹念に舐めやがれ。」 男の言葉にむっとしながら、遥は大人しく下腹部に顔を埋めた。 「んむ、……ん、んんっ……!?」 粗方尻の表面に塗り終わると、男は軟膏を追加して今度は中に塗り始めた。 異物感と痛みに思わず口を放しそうになったが、「続けろ」と言う男の声に不安を抱きつつ従った。 |