梵が死んだのは自分のせいなんだと言う名字は、この後はただ お茶とタオルありがとう とだけ告げ帰って行った
残された俺はその時の名字を思い出しては簡単に踏み込んでいけない所なのだと思い続けている
梵とは特別仲が良かった訳では無い
ライバルとしてお互い切磋琢磨していたとは思うが、プライベートの事などほぼ知らないに等しい
だから梵と名字の間に何があって名字があのような事を言ったのか検討が着く訳もなく、気がついたらまたあのコートに足を運んでしまっていた
もしかしたら名字が居るのではないかと少しだけ期待をして
でもコートには名字の姿はなく、誰1人として居ないコートに立つリングが寂しそうに見えた
鞄を近くのベンチに置き、少しだけ柔軟をした後にボールをリング目掛けて放つ
吸い込まれるようにリングを通過するボールが何度目か分からなかったが、ガツンと音を立てて弾き返された時

「散々部活でバスケしてんのにこんな所でまだバスケしてんの?」

ため息と共に呆れ顔で現れたのは名字だった



△ |

1 / 3




- ナノ -