18.5



簡潔に言えば負けた
全国への道は閉ざされ、魚住さんら3年生のバスケが終わった
悔しくない訳では無い
全国へ行くのは俺達だ、とチームの中に疑う奴だって居なかったはずだ
でも結果は負けた
結果が全てだ

その日の夜、名前ちゃんにメールを送った
試合前に控え室で会ったっきり音沙汰も無いことから、今日の試合結果を気にして居るのだろうと
彼女は自覚はないが人の変化に敏感過ぎる所がある
今回の事で俺との間にしこりを残して欲しくないと願い、来年は絶対に負けないよとたわいもない内容と一緒に送った
その瞬間に返ってきたエラーメール
宛先を確認してくださいと記載される本文に再度メールを立ち上げ、宛先に間違いがないか確認した後に送信ボタンを押すが、やはり届いたのはエラーメールだった
電話帳を開き通話ボタンを押すと耳に当てた携帯から聞こえるのは無機質な女性の声
瞬間で事を悟り、携帯を耳に当てたままベッドに倒れ込む
頑張ってね と笑う名前ちゃんを思い出しても、耳に届く無機質な女性の声は名前ちゃんに繋げてくれることも無く電話を切ってしまう
携帯と財布だけをポケットに突っ込んで向かったのは名前ちゃんの家
電話もメールも繋がらない今、家に行ったところでこんな夜分にインターホンを押すことも叶わないと思いつつも我慢できなかった
俺は何かしてしまったのか
こんなにも名前ちゃんに嫌われるような事をしてしまったのか
ぐるぐると回る自問に答えなんて出る訳もない

『なんだよ、そういう事か…』

名前ちゃんと流川が近くの公園で抱き合っている姿を見て思う
俺はやっぱり何も出来なかったじゃないかと



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