制服のままの俺を見て名字は、寄り道なんてするんだね と俺をどんな優等生だと思っているのだろうかと思う発言をした
高校生にもなって寄り道もせずに帰宅する奴なんて居るのだろうか

『名字はこんな遅くに1人で外に出るんだな』
「まだ19時じゃん」

初めてここで会った時は20時近かったが、19時でも立派に女1人で出歩くには危ない時間である

「てか何でここに居るの」

部活だけじゃ足らない程のバスケ馬鹿なの? なんて手にしていたボールを弾ませながら言う

『ここに来たら名字に会えるかと思って』

でもボールが足に当たったのか軌道を変えたボールは名字の手をすり抜けてコロコロと此方へ転がってきた
転がってきたボールを拾って名字に近づくと、名字は怪訝そうな顔をして

「馬鹿じゃないの」
『馬鹿なのかもしれない』

俺の言葉に尚、怪訝そうな顔をした

『どれだけ考えても、名字の言葉の意味が分からないんだ』

簡単に踏み込んではいけない所なのだとは思っているのにそれでも踏み込んでしまったのは、あの時の名字の顔
触れて欲しくないと思う気持ちの中に1人では抱えきれないと押しつぶされそうな名字の姿が見えてしまった
そんな姿を見てしまって黙って見守れるほど俺は大人ではない

『今すぐにとは言わないが、名字が本当に無理だと思った時に俺に教えて欲しい』



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