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晴れてお付き合いを始める事となった私と彰君
実は陵南の仙道彰と付き合ってるの! と発表して皆の驚いた顔を拝みたかったのだが、何処から聞きつけたのかその事を皆知っていたので私が逆に驚く羽目になった
そんな事があったんだと報告がてら陵南バスケ部に遊びに行った日曜日

『俺、名前ちゃんと付き合う事になった』

彰君のこの一言でガヤガヤと騒がしかった体育館が一瞬にして物音1つしなくなり

[痛っ!何するんですか越野さん!?]
[夢じゃねぇな]

ボールをぶつけられた騒がしいのが騒いでいるのを見つめていると

[まじでコイツと付き合ってんの?]
「まじです」

私の返答を合図と言わんばかりに まじかよ!!! と驚く陵南バスケ部の皆様
思わず私はその光景を見てニヤニヤ笑ってしまった
(私が湘北メンバーで行いたかった事が目の前で起きているからしょうがない)


『まだ笑ってる』
「だって面白すぎ」

何度思い出しても面白すぎる光景はあの後も続き

「本当に彰君って付き合った事無かったんだね」
『そんな事で嘘つく訳ないじゃない』

あの仙道についに! とか、明日は季節外れの大雪だ! とかめちゃくちゃ騒ぐ陵南バスケ部の皆様が最高に大好きになってしまったではないか

『これで名前ちゃんもうちに来やすくなるでしょ』

確かに顔馴染みにして貰えれば彰君に会いに来るのも気軽になる

「ありがとう」
『こちらこそいつも来てくれてありがとう』

繋ぐ手をにぎにぎとしてお礼を言えば、彰君も繋ぐ手をにぎにぎとしてくれる

「彰君は私と初めて会った時の事まだ覚えてる?」
『勿論覚えてるよ』

コロコロと転がるお茶を追いかけた先に現れた彰君

『その後うちに来た名前ちゃんも覚えてる』

そして湘北のスパイだと勘違いされた時に現れた彰君

「あの日もこうやって手繋いで帰ったね」

転んだら危ないからって握られた手が暖かかった

『俺は初めて会った時から名前ちゃんがずっと気になってたんだろうな』
「私はいつからなんだろ」

でも気がついたら彰君を好きになってた
きっと彰君だったから私は好きになってたんだ

『流川とはうまくやれてる?』
「まーぼちぼち」

彰君と付き合ってると言ったら、あっそ と興味無さそうに言われた
でも アイツになんかされたらすぐ言え とも言われた事は、これからも楓に話しかけても良いということだと都合よく解釈させて頂いた

『隙さえあればという宣戦布告だね』

隙なんて俺は作らないけれどもと言いたげな彰君を見つめると一瞬で近づく顔

『でも名前ちゃんが隙だらけ』

ちゅっと触れる柔らかな感触が体を暑くさせる
まだまだ慣れぬ行為にいちいち顔を赤くさせてしまうのが恥ずかしい
でもそれこそが幸せなのかもしれないとここ最近は思うことが増えた

「私、彰君の事大好きになれて嬉しい」

大きな彰君の背中に腕を回す
初めて好きになった人が彰君で本当に良かったと思う

『俺も名前ちゃんの事を大好きになれて嬉しいよ』

そして彰君の初めて好きになった人が私であって本当に良かったとも思う



初恋は叶わないと言うけれど



初めて見つけた恋を2人で大事に持ち続けて、いつかまた今日の事を懐かしいねと話す時が来ることがありますようにと、彰君に笑いかけた



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