『ほら飲め』
プルタブを空けた缶を渡し、それに大人しく口をつける私を見て牧は満足そうに笑った
『泣いたら泣いた分だけ水分補給はしっかりとな』
赤く腫れた目を見られるのが恥ずかしいからあんまり見て欲しくないのだが、真っ直ぐ見つめてくる牧に居心地が悪い
だから部活に戻らないのかと聞くが、こんな状態の名字を置いていけるわけ無いだろう と顔を顰めた
『別に理由は聞かないから安心しろ』
聞いて欲しいなら話は別だが と笑う牧
笑う所では無いのだが、彼だからこんな状態でも笑うのだろう
「泣いた理由はアンタのせい」
指を指せば少しだけ驚いて難しい顔をしたが
『心当たりは無いんだが、すまないとだけ謝る』
「心当たり無いなら謝んないでよ」
真面目な顔で謝ってくるから拍子抜け
「嘘、私のせい」
誰のせいでもない
全部私のせいで私は泣いた
「私はゆう兄の夢を1つと言わずにもう1つ奪ってしまってたのかと」
1つは海南に行って牧とバスケをする事
もう1つはゆう兄が私を全国大会へ連れて行きたかったという事
「知ってた?
ゆう兄が死んだ原因…私なんだ」
流石の牧でも、本当の私を知ったら離れてしまうのだろう
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