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[いい雰囲気の所えらいすんませんけど、お2人はどないな関係で?]
ピリつく試合前の選手控え室で、仙道さんと女の人がハグしている光景はチェックせずには居られない
しかも仙道さんと言えば好きな人が出来たと凄い噂になったのだ
もしかしなくても今ここに居る人がその仙道さんの好きな人なのではと
[あんさんこの間の湘北のスパイですやん!?]
「違うけど」
仙道さんの腕の中からひょこりと出てきた顔には見覚えがあった
私服だったから一瞬わからなかったけれど、よく見たら前に制服着てどうどうと仙道さんを訪ねてきた湘北の女スパイ
[今日も今日とてスパイっちゅう訳でっか!!]
「だから違うって」
湘北との全国をかけた試合の間近に仙道さんに近づくなんてなんという女だ
[仙道さんも仙道さんでっせ!
スパイにまんまと騙されて惚れさせられるなんて]
あかん、陵南の情報が湘北に全部流れてしまっている
思わず頭を抱えてその場に蹲ってしまっていると
「名字名前、湘北高校1年10組」
ワイの目の前にしゃがむスパイは誕生日やら血液型やらどこに住んでるか、他にも好きな食べ物や嫌いな食べ物、あらゆるプロフィールを留まること無く言い続けるでは無いか
無意識に手にしていたノートにペンが走る
「他になにか聞きたいことは?」
あらかた聞き出したというか勝手に話してくれたお陰で、目の前のスパイの情報は湘北バスケ部の誰よりもノートに詳しく記載されている
[湘北に流したうちの情報はなんでっか]
「流すも何も陵南バスケ部は彰君しか知らないし」
彰君の事も、硬派たらしってことくらいしか知らない と言う目の前のスパイは
(硬派たらしってなんぞやと思ったけどとりあえず話がややこしくなりそうでツッこむのはやめた)
[ほんまにあんさんスパイでっか?]
「だから何回も違うって言ってるじゃん」
どうやら彼女はスパイでは無いみたいで
「私そろそろ晴子達と合流しなきゃ!」
時計を見て少し慌てた様に仙道さんに 頑張ってね と笑うと、仙道さんは仙道さんで見たことも無いデレッとした顔で手を振って見送っていた
それなのに去っていく後ろ姿が見えなくなった瞬間、更に見たことも無い怒ってるような真剣な顔で此方に近づいてくるので、2人の邪魔をしてしまったことを怒られるのかとノートを抱きしめ緊張していると
『名前ちゃんの情報後で全部教えてよ』
コソッと耳打ちするように呟いた
そしてノートをツンツンとつついたと思ったら
[てめぇふざけんなよ!!!!]
試合前になに女とイチャついてんだ!!! と越野さんに飛び蹴りをお見舞いされていた
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