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最後に名前ちゃんに会ったのは3日前
湘北へ足を運んで一緒に帰ったのが最後で、それからは会うこともなければメールの1通も無かった
自分から送れば良いのだろうけれど、普段メールなどしない自分は、特に用事がない時はどういう内容を送ればいいのか思いつかない
制服のポケットに入っている携帯を今日は何度開いただろう
屋上に行って高々と空へかざした所で何も届くはずも無く

[ごめんなさい、急に呼び出したりして]

目の前に現れた見知らぬ女子生徒が名前ちゃんだったら良かったのにと思ってしまう程に、俺の中は名前ちゃんでいっぱいだった
何故こんなにも自分の中が名前ちゃんでいっぱいになってしまってるのかはイマイチ分からなかったが、名前ちゃんと居ると心地がいい
何かを俺に求める訳でもなく、理想を抱いている訳でもなく、本当にただの友達として俺に接してくれる彼女の存在が心地が良かったのだ

[今はバスケに専念したいからって言われるのは分かってるんだけど]

どうしても気持ちを伝えたくて と何度見知らぬ女子生徒から告白を受けたのだろうか
正直バスケに専念したいからという理由は断る為の口実でしかない訳で

『ごめんね』

その度に謝らなければいけない事が最近は少しだけ面倒になって来ていた
かと言って、好きでもない人と付き合うという選択肢は無いからしょうがないのだ

[大丈夫
私、仙道くんがバスケ頑張ってる姿が好きだから]

落ち着くまで待ってる なんてのも何度言われたのだろうか
言われる度に彼女達の時間を奪ってしまっている重みが嫌という程にのしかかってくる

『ごめんね』

謝る事しか出来ないので、これ以上少しでも彼女の時間を奪っては行けないと屋上の扉をくぐろうとした時に震えた携帯
気のせいではないと急いで取り出せば、新着メッセージ1件の文字
慌てて少しだけ涙を浮かべる女子生徒の前へ戻る
そしてもう一度だけ ごめんね と謝り

『俺、好きな人が居るんだ』

だから待っててもらっても君と付き合う事は出来ない
そうハッキリと伝え、今度こそ屋上の扉をくぐり抜けた




嫌でもその人の事を考えちゃうのが好きってことなんだってミッチーが言ってた!

名前ちゃんから届いたメール
まだ出会って間も無い君を嫌でも考えてしまっている俺は名前ちゃんが…



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