牧は何も言わずに私の手からリストバンドを受け取った
『梵がそんな事思ってたなんてな』
意外だな と少しだけ微笑んで、片方私の手に戻す
『神奈川NO.1になって、全国へ連れてってやりたい子がいる』
だからお前は神奈川No.2になって、俺が全国へ行く手助けをするんだ そう口癖のようにゆう兄が言っていた事を牧は教えてくれた
『梵が全国へ連れて行ってやりたい子ってのは名前の事だろうから、片方大事に持っててやれ』
きっとそっちのが梵も喜ぶだろう と頭にぽんと置かれた手
軽く置かれているはずなのに私には重く重くのしかかっている様にしか感じられず、その重みに反することが出来ずに顔を伏せた
そんな私を不審がり どうした? と少し屈んで顔を覗き込んで、驚き目を見開く牧と視線が合う
駄目だ
牧の目を見てしまったら何もかも隠し通せる自信が無くなった
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