6



彰君が送ってくれると言うので、家までの道のりはとても退屈だし快くお願いした
その間に分かったことは、彰君の行動1つ1つがナチュラルタラシであるという事だ
自然と車道側を歩くなんて当たり前中の当たり前
突然手を掴まれたと思ったら 段差に気をつけて とか、ちょっと喉が乾いたなと思ったらコンビニに立ち寄り、その際にちらりと見たアイスを知らぬ間に購入してて飲み物と一緒に渡された
(私が財布を出す前にささっとお会計を済ませてしまったのにも驚いた)

「本当に彼女居ないの?」

気が利いて顔面もスタイルも性格も良いなんて、こんな男を女は放っておかないであろう
初めて会った時と同じようにスポドリを飲む彰君は、居ないってば と笑う

『興味無いんだよね』

付き合うとかそういうの って飲み終えた缶を見つけたゴミ箱に投げ捨てると、缶は吸い込まれるようにゴミ箱の中に入った

「好きな人居たことない?」
『んー、無いね』

というか好きってなんだろ?
そう聞かれた所で私もイマイチ分からないから、なんだろうねー? とアイスを頬張る

『名前ちゃんも付き合った事無いの?』
「ある」
『あ、そうなんだ』

と言っても今思い出してもあれは付き合った事になるのだろうか
たまに一緒に帰ってたまにコンビニに寄り道したりして
そう、まさに今彰君としてる事をしただけだ

「というか、こうやって手繋いで歩いてる段階でその時より付き合ってる感あると思う」

付き合った男子に指一本触れられた記憶が無い

『これは名前ちゃんが危なっかしいからでしょ』

危なっかしいと言うのはさっき盛大に転びそうになったことだろうか
だからって手を繋いで歩く程でもないと思うのだが

「私、刺されないかな?」
『刺されるようなことしたの??』
「現在進行形でしてる」

彰君にはファンクラブなるものが絶対にある
(あんな無愛想な楓にあるくらいだから、人あたりの良すぎる彰君に無いはずない)
その人達に今の光景を目撃されたら確実になにか起こりそう
やだな…制服着てるから学校バレちゃうし
というかその前に手離せばいいんだけど

『その時は俺が守ってあげるよ』

あははと笑う彰君を見てたらどうにかなるかなとそのまま家まで手を繋いで帰った



△ | ▽

11 / 32




- ナノ -