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私が陵南バスケ部に訪れたのは勿論スパイでもなんでも無くって、只の好奇心だ
偶然出会った彰君の事を楓に聞いた時の反応からして、彰君は只者ではないと思ったから
どういう風に只者では無いのか純粋に気になったのだ

『名前ちゃん、流川に怒られない?それ』
「え、何で?」

彰君との出会いから、私が今こうして彰君に会いに来た経緯を話したら私が楓に怒られないかと彰君は言うけれど、何故私が楓に怒られるのかよく分からない
というかそう言えば私、彰君に抱きとめられたままだっけ
ごめんねーぶつかって と謝り彰君と距離を取る
俺こそ急に立ち止まってごめんねーと謝る彰君の手は、彰君にぶつけた額を撫でていた

「痛くないから大丈夫よ!」

気にしない気にしないって笑ったら

『女の子なんだから大丈夫じゃないでしょ』

顔に傷なんて作っちゃった日には責任とらなきゃ
なーんてやっぱり彰君は私がさっき思った以上に女子慣れし過ぎてるな
こういう事をナチュラルに言えちゃうなんて、何人の女の子が彰君に泣かされてきたのか

「彰君の彼女は大変ね」
『彼女なんて居たことないけど?』

あら、ライトな関係派ですか
これはこれで問題ですネ とちゃかせば

『ライトな関係?面倒臭いからヤダよ』

まずそういうのは好きな子としなきゃって
え?彰君ってこんなにタラシなのに、実は硬派君なの??
嘘も大概にしてよね!



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