今目の前で、突然体育館に現れた名前が牧さんの腕を掴んで何処かへ連れ出そうとしている
『どうした?今じゃないと駄目なのか??』
流石に部活中ということもあって、名前を静止しようとする牧さんの手が名前の手に触れた
ザワめきが一層大きくなった瞬間に
[本当に自分勝手過ぎんだろ]
2人の繋がりを自分の手で断ち切った
俺の手の中にある名前の腕は驚く程に細くて折ってしまいそうだと思いながらも、緩めることの出来ない力
でも名前は迷うこと無く俺の手を振りほどいて、またアンタかよと言うようなウンザリとした顔をした
そして俺に掴まれていた箇所をさすっては苦い顔をする
俺はその顔を見る事が嫌だったから、まだ部活中だと名前を体育館から追い出そうと近づいたのに、俺より先に名前に触れたのは牧さんだった
『手首が痛むのか?』
少しだけ赤くなった手首に触れた手を名前は振りほどかなかった
俺の時は問答無用で振りほどいた癖に、大丈夫だから と少しだけ笑った気がした
「それよりちょっとだけ着いてきて欲しい」
お願い とこんな状態の名前に牧さんがノーと言える訳もなく
『すまんが少しだけ抜ける』
牧さんは俺にそう言うと名前と一緒に体育館を出ていった
取り残された俺は2人が出ていった扉を見つめる事しか出来ず、その場に立ち尽くす他無かった
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