3.5



帰ろうかどうしようか悩んだ挙句、帰ろうと正門をくぐろうとした時に他校の制服を着た女の子が体育館の方へ歩いていくのを見つけた
(確かあの制服は湘北だった気がする)

何となくその後ろ姿を追ってみると、やはり女の子は体育館の入口に立っていて、彦一の何やら騒いでいる声が聞こえた
(まぁ、アイツが騒いでいるのはいつもの事なのだが)

「ねぇ、タレ目でツンツン頭の人知ってる?」

どうやら彼女は多分俺を探しているみたいだけど、湘北に知り合いの女の子なんて居ないはずだと首を傾げる

[やっぱり、スパイですやん!!]
「はぁ?」

近づく度に騒がしい声が大きくなる
(近づかなくても騒がしい声は大きくなったけどね)

「ねぇ、君めちゃくちゃムカつく」
[ええー!!]

そして手を捕まえられた彦一の顔が真っ赤になるのが見えたんだけど、お前どんだけ女子に免疫力ないのよ
女の子のすぐ後ろまで来てる俺に気が付かないなんて

「知ってんの?知らないの??」

どっちよ!なんて言っている女の子の手を包み込む様に掴み

『俺の事かな?』

彦一の手を離してやってよと言わんばかりに手を解けば見上げてくる女の子
あれ?この子…誰??



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