牧は今、間違いなく梵と言った
そして彼に他意がないのも分かって居る

『名字は梵を知ってるんじゃないのか?』

ただ神奈川No.1は牧ではないと言った私が、神奈川No.1になる筈だった男の通うバスケコートに出入りしていたから聞いてきただけで
そういう意味でしか無いはずの言葉なのに私の動揺が隠せない

「知ってる…」

そして嘘をつく事も出来なかった
やっぱりか ともらす牧が私の知る真実を知ってることは無いはずで、でも彼の言う梵は、私の知る梵優之介で間違いない

『最初は気が付かなかったけれど、名字のシュートフォームがなんとなく似てるなって思ったんだ』
「確かにゆう兄にシュートを教えて貰った」

そんな事まで気がついてしまうものなのかと頭が痛んだ
そして、名字は梵をゆう兄って呼んでたのか

『2人は親しい仲だったんだな』

ああ、もう何も話したくない




| ▽

3 / 3




×
- ナノ -