辿り着いたのは屋上で
丁度屋上の扉を開けた時に鳴ったチャイム
授業を受けずにこんな所に居るのは初めての事だった
(所謂サボりと言うやつだ)
目の前で腕を組み仁王立ちする名字
このまま放っておくとふざけんなと殴りかかってきそうな雰囲気だったので、ズボンのポケットにしまっていたリストバンドを出す
リストバンドを見た一瞬に見開かれた瞳を見逃さない

『やっぱり君のか』

奪われるように取られたリストバンド
昨夜、ボールを奪われるように取られた光景を思い出す

『バスケはいつからやってるんだ?』

あのシュートフォームは昨日一昨日で出来るものでは無い

「は?」

終始不機嫌な名字は、俺の言葉で尚不機嫌になった
あんたには関係ないだろうと言われなくても顔に書いてあるので、あぁそうだなと笑うと又、尚不機嫌になった

「あんた、馬鹿なの?」

馬鹿なのかそうじゃないのかと聞かれれば、馬鹿ではないと思いたい
一応バスケを理由に勉学が疎かにならないように努めているつもりだ

『学年トップとまではいかないが、上位ではある』
「そういうこと言ってんじゃないのよ」

なんなの天然なのこの人と額に手を当てる名字は大きなため息をついて

「私、あんたに喧嘩売ったのよ?」

覚えてないの!? なんて言われた所で、喧嘩なんて売られただろうか
身に覚えのない事に首を傾げる

「あんたは神奈川No.1じゃないって」
『あーその事か』

あれは喧嘩を売られていたのかと笑ってしまうと、キョトンとする名字

『それは君の意見であって、俺がどうこう言える資格はないよ』

まだまだ俺は自分のバスケに満足している訳では無いし、神奈川No.1だと胸を張れる訳でもない

『流石に反吐が出るは少し驚いたが気にしなくていい』

俺は気にしてないからと肩にポンと手を置くと、変な奴って名字が呟いた



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