ガヤガヤと賑わう教室内は、学年が違うだけでこうも雰囲気が変わるのかと驚く程だった
昨夜の公園での出来事の後に、ベンチの前に落ちているリストバンドを見つけた
もしかしたら彼女のものでは無いかと、念の為に拾って持って来たは良いものの、教室内を見渡す限り、彼女本人も清田の姿も見つからない
急いでいる訳でもないのでまた時間を改めて来てもいいのだが、気を利かせて目の前に寄ってきてくれた複数の女子たちが俺の要件を聞いてくれようと待っていてくれている
伝言を頼むとしても、はてさて彼女の名前は何なのだろうか

『髪の毛がこの位で』

なーんて言ってみたはいいものの、髪の長さなんて何の役にもたたない
どうしたものかと悩んでいると凄い勢いで近づく足音が聞こえ、何してんのあんた みたいな顔したお目当ての人がいた
目の前の女子たちに、ありがとうもう大丈夫だ と言おうと思ったのだが、この子達は俺のお目当ての人が彼女だと気がつくや否や口を揃えて、なんで名字さんなのと嫌悪をあらわにしている
(そうか、彼女は名字と言うのか)

「着いてきて」

名字は女子たちをちらりと見たと思ったら、そう一言だけ言い、来た道を戻っていく
俺は彼女に言われるがままその背中に着いて行くが、やはり耳に届くのはいい言葉では無かった



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