『ナマエ』

沈黙から10分も経っていない時に呼ばれた名前
なんですか?と資料からリヴァイ兵長へと視線を向けるが彼は私を見るでもなく、報告書を見つめ記入していた
報告書を手伝えなんて嫌ですよ
私自慢じゃないけど事務作業とか大嫌いなんですからと心の中で思えば

『俺と付き合うか?』
「は?」

ど、どうしたんだこの人は
涼しい顔して相変わらず報告書を書く手は止めず何を言っているんだ
軽くパにくる頭で状況を理解しようにもどうにもならなくて

「兵長は私が好きなんですか?」

付き合うのってそういう事でしょう?と問えば、まーそういう事なのかもなって
兵長が…あの兵長が…

『何笑ってやがる』

気が付いたら私の顔は笑っていたらしい
報告書から私に向けられる視線にますます笑ってしまう

「好きなんておかしいですよ」

そんな事を言う私に少し苛立ったのか盛大に舌打ちをしてうぜぇとぼやくではないか
違う、違うよ
初めて彼は今私が思っていることを理解していない
違うんだ
今の言葉は…

「もしかしたら私が兵長を好きなのかもって思うなんて」

あんなに煩わしいと思っていたのに

「この感情はただただ自分の首を絞めるだけの物なのに」

兵長に好きだと言われたら嬉しいだなんて

『お前は昔から変に悪い方に考える癖があるんだ』

この世に未練が残るから、生きたいと思うからこそ自分の力以上が出る時だってある
そういう兵長はとってもかっこよかった



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