本日の営業が終わり、重い頭をなんとか持ち上げて帰路に着く
タクシーを拾う前に最寄りのコンビニで軽食を買って帰るのが私のルーティンで、今日もまたいつものコンビニへ足を向けるとコンビニの前には派手な外車がどーんと停まっている
その車の持ち主であろう人が、車に持たれて煙草を吸う姿は実に様になっている

『やっと出てきた』

ぼーっとしすぎて声をかけられるまでその人が失態を犯してしまった相手と気がつかずにいた事が本日2回目となる失態だった
そして立て続けに犯してしまっている失態は今の私の姿
万が一お客さんに出会しても良いように小綺麗にしてはいるが、なんだかこの人の前ではそれこそが恥ずかしい
化粧はヨレ、セットを崩したボサボサの髪を1つに括っているだけ
服だって楽だというだけで適当に選んでいるワンピースだ
逃げてしまいたくなるのをグッと堪え

「どうしたんですかぁ?
もしかしてもう私に会いたくなっちゃったとか??」

すっかりoffにしていた仕事スイッチをonにする
そんな私を見つめて苦い顔をする目の前の彼は

『仕事の君には興味無いんだ』



赤く染めた林檎の中身



やはり全てを見透かすような目で私を見つめた



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