『眠っている間、俺は俺をずっと見つめていた』
幼い自分はいつだって泣いてた
泣いて泣いて、涙が枯れるんじゃないかと思う程に泣いて
声を上げて、声が枯れるんじゃないかと思う程に泣いた
それでも周りの誰も俺を見る人は居ない光景をずっと見つめていた
だからいっそ、俺なんて死ぬべきなのだと思ったんだ
そう言う峯さんにかける言葉が見つからなかった
そんな私に気がついた峯さんは、すみませんと笑う
『でもそんな俺を1人だけ、たった1人だけ泣かなくていいのよと手を握ってくれた人が居ました』
それが貴女です
握られた手に力が加わり、峯さんの手の温かさが増した気がした
『俺は、名前さんにもう一度だけ会いたくて戻ってきました』
後悔していたんです
自分の立場を考えて、自分の気持ちに気が付かないフリをした
どうにもならなくて苦しくて苦しくて全て捨ててしまおうと屋上から飛び降りようとしたのに、いざ死ぬとなるとやっぱりあの時あの瞬間にこうしていれば、ああしていればと
『俺は、名前さんが好きです』
それを伝えるために戻ってきました という峯さんの言葉に私の涙はやはり止まることは無く
「私も峯さんが好きです」
勇気のない意気地無しな自分が本当に嫌で
今こうして峯さんが私を好きだったと伝えてくれていなければ、私は自分の気持ちをこうして口にする事も出来なかった
だからこんなに簡単に言っていいのか分からないけれど
「愛してます」
俺もですと涙を流してくれる峯さんを見たら、どうしようもなく胸が締め付けられて又涙が溢れ出した
貴方に愛の花束を
義孝さんが無事に退院した後にお付き合いを始めて、初めての春
2年連続欠席をした義孝さんの姿が今年はあり、大騒ぎする真島の叔父様に酒をすすめられて、車で来たのだときっぱり断る姿を峯らしいと兄が笑った
[つまらんのーぉ!
なら名前ちゃんに飲んでもらわな]
お酒の入ったコップを私に渡す真島の叔父様を義孝さんがとめる
『名前さんにお酒はすすめないでください』
大切な身体なんですからと肩に手を回す義孝さんに叔父様は
[なんやお前、名前ちゃんはいける口やって知らんのか?]
付きおうてるくせにと小馬鹿にする様に言うが
『そういう意味ではありません』
と私のお腹に手を当てた
[ま、まさか!!!]
『そのまさかなんでやめてください』
[ちょ、峯!!??]
叔父様の絶句する顔と木霊する兄の義孝さんを呼ぶ叫び声が面白くてクスクス笑ってしまうと
[名前、笑ってる場合じゃないぞ]
桐生の叔父様にコラコラと言われてしまうが、動揺する2人がどうしても面白くて笑わずには居られない
そんな2人に義孝さんは
『こういった既成事実というものがあるので、俺たちの結婚を許してくれますよね?』
と追い討ちをかけるように言うので
[お前!確信犯だろ!!!]
と兄は義孝さんの胸ぐらを掴み揺さぶり
[ワシはどないしたらええんや]
と真島の叔父様は桐生の叔父様に涙ながら訴えていた
Thank you.アンケート
死なない世界線で幸せになってもらいたい
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こちらのお話、はじめましてこんにちは と同ヒロインちゃんとなっております
個々で読んでいただいても勿論問題ありませんが、こんな裏話があったのか!と分かったうえで、再度楽しんで頂けたら幸いです
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