異変に気がついた医師と看護士達がバタバタとやってきた
そして目を覚ました峯さんを見て驚いていた
[もう大丈夫です]
テキパキとした動きで診察をする医師達は、おめでとうございますと部屋を出ていった
静かな部屋には目を覚ました峯さんと2人きりに
眠っていた分、上手く体は動かせないらしいので少しのリハビリが必要ではあるが、もう本当に大丈夫らしい
夢のような出来事に、これは現実なのか夢なのかまだ頭が混乱する
でも確かに峯さんは目覚めて、今、目の前にいる
「おはようございます」
お寝坊さんですねと笑うと、峯さんも少しだけ笑った
『やつれましたね』
どちらが病人か分からない と上手く出せない筈なのに、掠れた小さな声だったけど峯さんは更に笑う
峯さんの声を聞いて、会話をして、初めてじわじわと実感した
その瞬間に溢れ出てしまった涙がぽたぽたと床を濡らし、少しだけ子供みたいに声を上げて泣いた
それを峯さんは驚くでもなくただ優しい顔で見つめては
『貴女の夢をずっと見てました』
私の手を握る
『名前さんが居たから、俺は今こうして生きてる』
手を握る峯さんの手は、温かかった
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