兄が撃たれたことを含め、ここ最近の出来事に峯さんも少なからず関与していたという事実に、峯さんの手を握る手に力がこもってしまう

[峯は俺たちを裏切ったわけじゃない]
「叔父様」

病室へ入ってきた桐生の叔父様
私が少しでも落ち着くようにか、手に持っていた温かいお茶を渡そうとしてくれたが、私はそれを拒否した
行き場の無くなったお茶を気にすること無くテーブルの上に置き

[最後まで峯は大吾の事、東城会の事を考えていた]

空いた椅子に腰掛けると、真っ直ぐに私を見て言う

[だから死のうとしたんだ]

拳銃に立ち向かい、そのまま屋上から飛び降りようとしたなんて、なんて人なのか

[桐生さんが峯を掴んでくれなかったら今頃]

今頃、峯さんはここには居ないのだろう
温かさも無く、ただの冷たい物体になってしまっていたのだろう

[それでも何発も撃たれてるんだ
この2、3日が山場だと]

覚悟はしておいた方がいいと言う叔父様は静かに病室を出ていった
兄も、何かあれば直ぐに来るからと私と峯さんを2人きりにしてくれた
その行動に兄と叔父様の優しさがひしひしと伝わってくる



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