ぼすんと音を立てて着地したベッドは龍司さんの匂いがした
顔を覗き込むように覆い被さった大きな体から私は一向に離れようとしない
家に向かう車の中でさえずっと離れず、背中を、頭を撫ぜてくれる龍司さんの手を堪能していた
頭のてっぺんから顔にちゅっちゅと軽いキスを落とす龍司さん
『ほんま堪忍な
もうあんな所連れてかへんから』
ぎゅーっと抱きしめて私ごとごろんと横に倒れた
2人してベッドに身を預けて寝転ぶと、私の中に渦巻いていた感情が少しずつ解かされていく
「行きたくないけど行く」
組員さん達が私をも誘う理由は分かってるし、龍司さんを疑ってるわけじゃないけど馬鹿な女から守らなければならない
指1本も私のものに触れてほしくないのだ
『明日は急ピッチで仕事終わらすさかい
名前が欲しいもん買うたる』
「本当に?」
欲しいものを買ってもらえる事が嬉しいのではない
忙しい彼と出かけれることが嬉しかった
少しだけ体を離して龍司さんの顔を見ると、優しく笑っていた
その顔にときめき、体がむずむずとした
だからもう一度龍司さんに抱きつくと優しく背中を撫ぜてくれる手
違う、私が今欲しいのはそれでは無い
「龍司さん、えっちしよ」
荒々しく私を貪欲に求めて離さないあの手が欲しいのだ
頭上で聞こえたふっと息だけの笑い声
『ほんま可愛いてしゃーないわ』
自身のそれを私に押し当てるかのように足の間に割って入ってきた龍司さんの足
私の腰が逃げないようにと背に触れていた手がお尻を撫でている
そんな少しの刺激に反応する私の顎をつかみ上を向かせる龍司さんの目は
『たっぷり可愛がってやるわ』
いつもの優しいものではなく、食い殺されるのではと思わせる程雄々しい私だけが知るものだった
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甘やかされたい
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