苛立ちはMAXだ
手の中のグラスを女の頭上で傾けた
悲鳴と共に 何すんのよ! と叫ぶ目の前の女は、頭から降り注ぐココアを化粧を崩しながら拭いつつ私を突き飛ばした
倒れる程の力じゃなかったけど、敢えてソファーに座る龍司さんに倒れ込むと場の空気がピリリと変わり

『何してくれとんねん!!!!』

突き飛ばされた私を抱き留めた龍司さんが怒声を上げた瞬間、組員さん達も次々と怒声を上げながら私を突き飛ばした女を囲った
その状況に怯えた女達は隅っこに逃げて体を寄せ合い恐怖に震えている
当事者の女の顔は青ざめ、焦点の合わぬ目で、龍司さんの腕の中の私を見つめてはごめんなさいと何度もうわ言のように呟くが、私は無視して龍司さんに腕を回し抱きついた
胸に顔を埋め、本当だったら今頃龍司さんと晩御飯を終えてまったりくつろいでるはずだったのにと考えると涙が目に滲んだ
ぐすんと鼻をすすると震え出す龍司さんの体
抱き留める龍司さんの手の力が強くなったと思ったら軽々と抱き抱えられ

『人の女に手出した挙句、泣かせるなんてどう落とし前付けてくれるか楽しみにしとくわ』

好きに暴れぇと踵を返し歩き始めた龍司さんの背後から凄まじい音が鳴り響いた



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