天井を見つめる
そんな自分を見つめる名前
いつもだったらこっちに背を向けて眠ってるくせに

『寝ぇへんのか』

ぼそっと呟けば今までだって寝てないと言う
ほうかと言えばそうよって返される
なんとなくじゃーなんで今まで寝たふりなんかなんて聞かなくたって分かった
きっと彼女が背を向けていなければ自分が向けていたからだ

「朝になったら嘘でしたとか言わないでよ」
『そら分からん』
「そこは言わんって言う所でしょ?」
『まぁな』

少し密着してきた体に空いた腕を回し目をつむる
すると頬に触れた手

「寝るの?」
『分からん』
「また分からんって言う」

くすりと笑われたので、うっさいわと笑えばちゅっと軽く触れるだけのキスをされた
今まで考えられなかった甘い時間が流れる中で思い出したゴム事件
あれは名前なりに考えた、今までの関係への修正案なのだろう

『自分ばかやな』

きつくきつく抱きしめた
何か言いたそうだったからもう何も言えないように抱きしめた

『早よ寝え』

頭に顔を埋める
煙草の匂いや酒の匂いもしない訳ではなかったけど落ち着く良い匂いがした
そして朝、あれは嘘だったなんて冗談を言ったらどんな反応をするのだろうかなんて考えていると聞こえてきた規則正しい音
その音に合わせて呼吸をすればすぐに眠気が襲った
眠気の片隅でやはりそんな冗談は言わない方が身の為だと思いながら意識を手放した



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