「へい、お兄さん
私といいことしない?」
車に乗ろうとした瞬間に制服を着た女が、どこからどう見ても堅気ではない自分に白昼堂々と援助交際しないかと声をかけてきた
周りの組員達がどよめき、驚き過ぎて逆に何も出来ずにいる
『すまんな
女は間に合ってんねん』
ワンテンポ遅れて女を遠ざけようとしたのを静止し、己自ら断りを入れる
よく見ると女の着ている制服は関西高校のものだった
確か関西高校は進学校で有名だったはず
こんな阿呆が入学できるほど今はレベルが落ちたのか
または天才と馬鹿は紙一重という
女が肩にかけていた鞄をおもむろに漁り始めると、ピリッとする空気
こっちの世界はこんな無害そうな女に油断すると命を落とす世界
何しとんねん!と組員の1人が漁る手を掴む
痛っと言葉と一緒にワシの足元に落ちたのは大きなくまのぬいぐるみが付いた携帯電話
「お兄さんのメルアド聞こうと思っただけなのに!」
掴まれた腕を不機嫌に振りほどき携帯を拾うと、電話番号でもいいよ?ってワシに渡そうとしてきた
『嬢ちゃんええ加減にしい』
その携帯と女を無視して車に乗り込む
車の外で何やら言っているがよく聞こえないのでさらに無視をした
訳分からん奴には関わらん方がいい