平和に乾杯。 | ナノ




眠れねえからキッチンで酒を呑んでた。コックに邪魔くせぇと言われたが気にしねぇ。外は雨だもんよ、仕方ねぇだろ。ルフィたちは寝てやがるからイビキがうるせぇし。つーかそもそもあの男部屋で呑む気は起きねぇし。

しばらくしたらゆずも眠いんだけど眠れないっつってキッチンに来た。
ゆずが来たことにびっくりしたが隣に座らせて酒を注いでやった。
ゆずもおれがいたことにびっくりしてた。そりゃそうだ。もう夜もどっぷり浸かってるもんな。たまに朝方まで呑むがこの時間から呑み始めるっつーのは無いよなぁ。

軽く乾杯して呑みだせば、さっそくまゆげがツマミを出しやがった。おれのツマミとは全然ちげぇじゃねぇか、文句言おうと思ったがよく考えてみれば、まあそういうもんだ。
ゆずは礼を言って少し眠そうな声でゆるく笑う。
おいもう眠ぃんじゃねぇのかって言えば、「一口で酔いが回ったかもー。」って、お前に限ってありえねーよ。


「素直に寝りゃいいじゃねぇか。」

「んー、またベッドに戻ったら目が冴えちゃうよ…………はっ!もしかして、二人の邪魔かな?」

「「やめてくれ。」」


ニマニマとからかい笑いながらおれとコックは不本意ながらに声を揃えて言う。しかめっ面の顔が見えた。いやおれも同じような顔なんだろうけどよ。

三人揃えばただただ平和な小さな宴が開かれるだけ。
話はリズム良く弾む。それが心地良いなんて、死んでも口には出せねぇが。

くそコックがデレデレして、ゆずがゆるりと笑って、おれが突っ込んで。

次はゆずがニヤニヤして、カードゲームなんか始めて、気が付いたら夢中になって。


「あー、もう、寝るか。」

「負け逃げか〜!」

「ププ、てめぇ負けるからって逃げんのな、クソダセェ。」

「よし、もう一勝負な。」


安い挑発なんかもノリ良く返す。
それでゆずが笑うならいいと思う。


「あーん、酔っぱっぴーになっちゃったよー!」

「んだよ、酔っぱっぴ、って、」

「クク、ゆずちゅあん、かーわいー!!」


やはり潜在的な眠気も手伝って、いつもより早い段階でギブアップしたゆず。
いやそれでもかなり呑んではいるんだけどよ。

それから静かになったと思えば聞こえてくるのは定期的な呼吸音。ソファーのクッションを枕代わりに頭を乗せている。小さく開いているプクリとした唇。何ともまぁ、幸せそうな寝顔だ。

起こすのも気が退けるし、仕方ねぇからそのまま寝かせておくことにした。
くそコックのやつがちゃっちゃと毛布掛けてやったのを見て、なんとなく悔しかったからゆずの隣で寝てやった。

案の定、ぎゃーぎゃーうっせー叫び声を上げやがったけど、ゆずが眉間に皺寄せたら静かになった。よしそのまま静かにしてろ。


(………あー、なんだ、あれだ。…………いい匂いだ。)







すわりなさい。


起きたらソファーにゆずを真ん中にして三人で寝てたみてぇで。
目の前には怒ってるナミとルフィがいた。
こんなとこで寝るな朝方まで飲ますな風邪でも引いたらどうすんだ、なんかおめぇら楽しそうでズリィおれも混ぜろよ!
あーうるせー。






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